iPodと引き続き空の旅へ。もう一曲、上空から見下ろす景色を見て、ぴたっとはまったのが、Tスクエアのファンなら誰もが忘れる事のできない名曲、「宝島」だった。
Tスクエアの「宝島」は、元メンバーであるキーボーディスト、作曲者である和泉宏隆氏によって、今も新たな進化を遂げている。現在はジャズピアニストとしてソロに、トリオと、多忙な活動を続けている氏は、フュージョンのエレクトリックなサウンドから、アコースティックを基本としたサウンドを展開。ジャズの世界で新たに生み出された、美しく洗練されたオリジナル曲の数々は、ラーシュ・ヤンソンを始めとするヨーロピアン・ジャズの影響が大きい。
そんな中で、Tスクエア時代の名曲もここ数年、彼のジャズ・ライブで聴かれるようになってきた。iPod収録に収められた「宝島」は'07年2月21日に目黒のBlues Alley Japanで行われたライブアルバム(アンド・フォレスト・ミュージック・インク国内盤:ジャケット画像左)のもので、ライブのトリを飾る曲として演奏されたもの。「Hirotaka Izumi Trio」として、8月に聴いたスイートベイジルでのライブでの同メンバー、ベースの村上聖氏、ドラムの板垣正美氏と共に、ライブならではのホットな演奏を繰り広げている。
3年前の'04年だっただろうか、彼がトリオで活動を始めた時期に同じBlues Alley Japanで聴いたライブでの感動が蘇ってくる。そこで確かアンコールで演奏されていた一曲が、この「宝島」だった。
ジャズとして生まれ変わっても、原曲のグルーヴ感は変わらない。ピアノとベースによってハーモニーが生まれ、ドラムのビートが刻まれる事で新たな命が吹き込まれる。むしろ、編成がシンプルになった事で、曲の原型がくっきりと浮かび上がるように感じる。
原曲からジャズ・ピアノトリオとして和泉氏によって進化を遂げる過程の間に、この「宝島」は吹奏楽でも大きな影響を与えていた。
吹奏楽経験者なら誰もが一度は演奏した「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」。吹奏楽のポピュラーステージに欠かせないレパートリーであるこの「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズの発売25周年を記念した2枚の特別アルバム('97年3月録音、東芝EMI国内盤:ジャケット画像右 )にも、見事、この「宝島」は殿堂入りしている。こちらのCDジャケットは金色、もう一つのジャケットは銀色というド派手なもの(^^)演奏は日本のポピュラー界を先導してきた岩井直博&東京佼成ウィンドオーケストラに、特別ゲストとして、Tスクエアのサックスプレイヤー、伊東たけし氏が参加したもの。高校時代、余興的なイベントで一度この曲を演奏した記憶があり、実に心躍るアレンジに仕上がっている。
iPodで聴いている内、手と足が自然とビートを刻み出した。それは朝の機内での心地よいひと時だった。その日、東京から向かう先は、北海道という「宝島」。この日、-3度というとても寒い島だったけど・・・(^^;