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今週は週明けから残業続きで深夜帰りの一週間だった。どんなに遅い帰りでも寝る際には枕元にセットしてある愛用のSONYアンプ内臓スピーカでクラシックを聞くのが習慣となっている。この一週間、ヘビーローテーションになっていたのが教会音楽の一枚だった。イギリスが誇る名門聖歌隊の一つ、セントポール大聖堂聖歌隊のアルバムだ。このアルバムに惹かれる理由は3つある。

①ハイペリオンレーベルの録音がセントポール大聖堂の残響豊かな音場を見事に捉えていること。
②このアルバムがセントポール大聖堂聖歌隊の29枚のアルバムのエッセンスがつまったベストアルバムであること。
③実際にセントポール大聖堂聖歌隊の聖歌を生で聴いた体験があること。

特に①は97年にロンドンで聴いた当時の感動と臨場感が10年を過ぎた今でもスピーカーを通して伝わってくる。ケンブリッジやオックスフォード、ウェストミンスターなど他にも名門団体はイギリスに多数あるが、録音上で聴く限り、セントポール大聖堂の残響は最も長いと思われる。減衰しないまま、10秒近く大聖堂の空間の中に漂う「音」はまるで命を持った生き物のようだ。
このアルバムにはそんな感動がギュッと凝縮されている。

ジョン・ラター作曲の「God be in my head」はわずか2分余りの短い曲だが、印象に残る収録曲の一つ。

大聖堂の教会音楽は音を「聴く」という感覚ではなく、音に「浸る」あるいは音を「浴びる」という感覚に近い。日常世界のせわしさを超越できる何かがある。それは「癒し」と呼ばれるものなのかもしれない。

ラターが曲にした敬虔な歌詞をここで紹介して締めくくりたい。大切なものが自分を守ってくれる、そんな気持になれる。

God be in my head and in my understanding.
God be in mine eyes and in my looking.
God be in my mouth and in my speaking.
God be in mine heart and in my thinking.
God be at mine end and in my departing.