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ワーグナーの生誕200周年に引き続き、今度はジュゼッペ・ヴェルディの生誕200年記念として、歌劇「アイーダ」第2幕より凱旋行進曲(エジプトとイジスの神に栄光あれ)を。中間部で通常よりベルの長いアイーダトランペットによるソロがある曲として有名だが、日本ではJリーグの応援歌としての知名度の方が有名なようだ。本ブログでも、以前、秋山和慶&東京交響楽団のジルベスター・コンサートでの実演をエントリーしているが、コンサートピースとして演奏されることの多いこの名曲を、録音順にエントリーしてみたい。まずは合唱付版を。(ジャケット画像:左上から時計回り)

■クラウディオ・アバド指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
 (1974年11月録音、ミラノにて収録、グラモフォン国内盤)


今や巨匠となったアバド(b.1933)がまだ40代の若返りし時代の音源。演奏は彼が当時音楽監督を務めていたイタリアの名門、ミラノ・スカラ座。「ヴェルディ オペラ合唱曲集」というタイトル通り、作曲家・指揮・演奏といずれもイタリアに縁のある三拍子揃ったアルバムだけに、広く愛聴されているに違いない。合唱はさすがに本場の歌劇そのもので、オペラティックな雰囲気充分。個々の歌い手の技量も高いのだろう、一気にヴェルディの世界に誘われる。意外なのは、これだけ重量級の合唱団を従えながら、全体のサウンドが重くならない点。これもイタリア流なのかもしれない。中間部のソロは上手側→下手側の順で聴こえてくる。おそらくアイーダトランペットだろう。

■リチャード・ヒコックス指揮 ロンドン交響楽団、合唱団
 (1987~88年録音、アビーロードスタジオ、ロンドンにて収録、ファンハウス国内盤)


過去に「だったん人の踊り」でもエントリーしたヒコックス(1948-2008)によるもの。アルバム「オペラ名合唱曲集」に収録。合唱のロンドン交響合唱団にスポットが当たっているプログラミングだけに、この合唱団の音楽監督兼ロンドン響の副指揮者としてならしたヒコックスとしての手腕が発揮されている。その成果か、オケと合唱パートのバランスの取れたサウンドが展開されている。なお、中間部のソロは、ここでは上手側だけで演奏されている。

■マイケル・リード指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・コーラル・ソサエティ
 (1989年10月録音、ロイヤル・アルバート・ホールにて収録、RPO海外盤)


アルバム「Classical Spectacular」に収録。こちらもヒコックス盤同様、以前「だったん人の踊り」でエントリー。収録曲がいずれも名曲揃いで、クラシック初心者向けにもぴったりなアルバム。しかも収録曲の大部分はライヴ音源だけに、合唱付きの凱旋行進曲を聴けるのは何とも豪華だ。声量や技量の面で、合唱は他のアルバムに差を付けられているが、中間部のソロを含め(ここではほぼ中央部の演奏者席からのみ演奏)、通常のコンサートピースとしては充分に満喫できる演奏内容となっている。

■サー・ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ交響楽団、合唱団
 (1989年録音、オーケストラホール、シカゴにて収録、DECCA国内盤)


マイベスト盤。アルバム「ヴェルディ:オペラ合唱曲集)に収録。ショルティ&シカゴ響のベストマッチは伺い知る所だが、シカゴ響併設の合唱団(以前レア盤でエントリー)の巧さがここでは際立っている。その鍛錬された合唱(合唱指揮:マーガレット・ヒリス)と、堂に入った歌いっぷりは、ミラノ・スカラ座と好勝負といった所。中間部のソロは、アバド盤と同様、上手側→下手側となっている。ここもアドルフ・ハーセスを含むトランペットセクションの活躍が聴き所の一つといえるだろう。
なお、本アルバムは、「エジプトとイシスの神に栄光あれ」~「凱旋行進曲」~「戦いに勝った将軍よ、前に出よ」と3つのシーンがチャプター再生できるようになっている。今回エントリーした4枚の中では演奏時間が最も長く、聴き所が多い点も聴き手にとってありがたい。録音当時78歳のショルティの、バイタリティ溢れる貴重なディスコグラフィーだ。