ウィーン編のプレイリスト作りは、まず、ムジーク・フェラインザールでレコーディングされたウィーン・フィルの音源、という視点でセレクト。ウィーンに縁ある作曲家といえば、やはりまずはモーツァルト、という事で、昔から愛着のあるバーンスタイン&ウィーン・フィルによる音源を中心に選んでみた。以前、本ブログでエントリーした交響曲第36番「リンツ」や「ジュピター」の各終楽章を中心に、計5曲を。さてさて、感想はいかに・・・?(ジャケット画像:左上より右回り)
【モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」~終楽章、第41番「ジュピター」~終楽章】
○レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(36番:1984年10録音、41番:1984年1月録音、ムジーク・フェラインザールにて収録、ドイツ・グラモフォン海外盤)
「リンツ」と「ジュピター」の各終楽章をプレイリストへ。指揮はバーンスタイン&ウィーン・フィルによるもの。ベートーヴェンやブラームスと共に、モーツァルトの交響曲も積極的にライヴ・レコーディングしていた時代の録音。
生き生きとした生命力溢れるモーツァルト。ヨーロッパ出身の過去の巨匠達には中々引き出せなかったであろうテンポ感に、バーンスタインとウィーン・フィルとの相性の良さを窺わせる。特に、「ジュピター」の集結部で聞かせるホルンの朗々とした響きは、これぞウィーン・フィル!と思わせるもので、ウィンナ・ホルンの伝統の響きを今に伝えてくれる。今回の旅を通じて好きになった音源となった。
【モーツァルト:クラリネット協奏曲~第2楽章】
○レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1987年9月録音、コンツェルトハウス、ウィーンにて収録、ドイツ・グラモフォン海外盤)
以前、本ブログでもエントリーしたお気に入りの曲。大好きな第2楽章をウィーンの街でも再度味わいたいと思い、プレイリスト入りした。ペーター・シュミードル(b.1941)が紡ぎだす極上のクラリネット・ソロが、聴き手を優しい気持ちにさせてくれる。
【ヤナーチェク:「シンフォニエッタ」~第5楽章】
○サー・チャールズ・マッケラス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1980年3月録音、ゾフィエンザールにて収録、DECCA海外盤)
モーツァルトで、ウィーン・フィルのストリングス・セクションの芳醇な響きをたっぷりと味わえたので、今度は金管や木管楽器の音色も味わいたい。チェコを代表する作曲家ではあるが、ウィーン・フィルの金管・木管セクションが活躍するヤナーチェクの「シンフォニエッタ」より終曲を。このマッケラス(b.1925)&ウィーン・フィルによるこの演奏は、発売当時、話題を集めた名盤。ここでの「シンフォニエッタ」は洗練され、さらっとした口当たり。これがチェコ・フィルだと濃厚な味付けになるのだろうが、ウィーン・フィルの金管セクションはフォルテ時でも騒々しくならず、ストリングスとうまく調和する所に魅力を感じる。エンディングのファンファーレは実に伸びやかに歌われ、ウィーン・フィルの実力が遺憾なく発揮されている。
【シューベルト:交響曲第9番「グレイト」~第2楽章】
○レナード・バーンスタイン指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
(1987年10月、コンセルトヘボウ、アムステルダムにて収録、ドイツ・グラモフォン海外盤)
2008年の熱狂の日のテーマがシューベルトだったように、彼もウィーンとは切っても切れない作曲家。自分自身、シューベルトは、交響曲第5番や交響曲第9番「グレイト」がきっかけではまった作曲家。バーンスタイン&アムステルダム・コンセルヘボウ管が聴かせる「グレイト」は、昨年エントリーしたバイエルン放送響とのDVD盤とほぼ同時期の録音。中間部の美しさは瑞々しさのあるバイエルン放送響盤の方が好きだが、コンセルトヘボウのふくよかな残響のホールで、たっぷりと呼吸をし、しなやかな演奏に仕上がったコンセルトへボウ管盤も素晴らしい。映像でも音源でも、どちらも甲乙付け難い「グレイト」をバーンスタインは残してくれた。