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合唱付版に引き続き、通常のオケ版を。合唱がなくても、聴き映えがするのは、この曲にはリムスキー・コルサコフとグラズノフ2名によるオーケストレーションが加わっているせいだろうか。合唱付版も含め、「だったん人の踊り」では有名な“娘達の踊り”のテーマが何度か繰り返されるが、後半、フルートの装飾的な対旋律に乗って奏でられるストリングスのテーマは特に美しく、個人的にもお気に入りの部分。この辺り、リムスキー・コルサコフとグラズノフのオーケストレーションが冴えわたっており、彼らの力による部分も大きいのだろう。(ジャケット画像:左上より時計回り)

■「だったん人の娘の踊り」+「だったん人の踊り」

○ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮 
 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
 (1994年3月録音、ストックホルム・コンサートホールにて収録、CHANDOS海外盤a)


交響曲を含めたボロディンのアルバムにカップリングされた音源。「だったん人の踊り」はパリ管以来の再録音で、ロシア出身のロジェストヴェンスキーならではの愛着を感じるだけに、期待していた所だが、キレがなく残念。スウェーデンのオケとの相性もあるのかもしれない。ライヴでは熱演を披露する指揮者だけに、新たなる音源を期待したいところ。

○ダニエル・バレンボイム指揮 シカゴ交響楽団
 (1977年録音、グラモフォン海外盤)


名人集団のシカゴ響によるヴィルトゥオーゾな「だったん人の踊り」。有名な「娘達の踊り」のテーマで少しポルタメントを効かせており、やや異国情緒さを醸し出そうとしているのが窺われるが、ロシアン・テイストは今一つ。

○ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮 パリ管弦楽団
 (1972年1月録音、サグ・ワルガム、パリにて収録、EMI国内盤)


以前にもエントリーしたロジェストヴェンスキー&パリ管によるレアな音源。フランスのオケだけに、サウンドはカラフルで新鮮に響くが、やはりロシアものとは異質に感じてしまう演奏。

■「だったん人の踊り」のみ

○ユーリ・アーロノヴィチ指揮 ロンドン交響楽団
 (1981年5月録音、セント・ペーターズ・チャーチ、ロンドンにて収録、IMP輸入盤)


以前、「1812年」や、ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」でもエントリーしたアーロノヴィチによるもの。オケは、ヒコックスと同じロンドン響。印象に残ったのは、トランペットが本来、ハイトーンを避けて吹く譜面の箇所を、敢えてハイトーンで吹いているシーン。よりオケに鮮烈さが加わるだけに、アーロノヴィチがこだわった演奏効果の一つなのだろう。指揮者の個性が光った演奏。

○ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団
 (1959年録音、ソニー国内盤)


オーマンディがコロンビアに残したステレオ初期の頃の録音。セル盤の1年後の収録だけに、セル&クリーヴランド管を意識した部分があったのかもしれない。以前エントリーした「1812年」を含め、ロシアものにも強かったオーマンディだが、弦楽器をしっかりと歌わせるあたりは、絢爛豪華なフィラデルフィア・サウンドたる所以か。

○ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
 (1958年3月録音、ソニー国内盤)


快速なテンポの「だったん人の踊り」。通常のコンサートスタイルで演奏されるレベルとして聴き映えがあり、満足度も高い。セルと同じ自国の作曲家、コダ―イの「ハーリ・ヤーノシュ」のアルバムにカップリングされていた音源だが、ロシアものにも長けていた事を窺わせる。