連休の二日目、ニューエイジミュージック系の女性ピアニストの第一人者で、ピアニスト中村由利子のデビュー20周年記念コンサートを聴きに東京国際フォーラム(ホールC)へ。ほぼ同時期に音楽活動をスタートし、同じくコンポーザーピアニストとして活躍している西村由紀江と人気を二分しているアーティストといっていいだろう。実際、4年前の'03年に、オーチャードホールで日本の人気ピアニストが出演する「10人のピアニスト」というイベントを聴きに行った時にも二人が出演していた(他は国府弘子・島健・妹尾武・榊原大・村松健・藤原いくろう・遠野篤史・木住野佳子というメンバー)。
この日の演奏はニューアルバム「微笑みの軌跡」からのプログラムで構成。弦楽四重奏にオーボエ、ギターにパーカッションというアコースティックな編成だが、PAを通しているので、主役のピアノのメロディーラインははっきりと聴き取れる。曲によって照明や編成を変えるあたり、心にくい演出だ。
彼女の曲の特徴はヒーリングともいうべき癒しのメロディーの数々。時にはオーボエやストリングスがメロディーラインを奏で、あくまでアコースティックサウンドにこだわる音楽作りは、ピアノソロでの曲作りを基本とする西村由紀江とまた異なっている。
休憩をはさんだ後には、彼女のコンサートでは定番となっている「イメージリクエスト」という即興コーナーが。聴衆からキーワードをもらい、彼女がその場で浮かんだイメージを即興演奏するものだが、なかなかの盛り上がりだった。
しかし自分にとってこの日最大のサプライズは、南こうせつが飛び入り出演した事だった!持ち歌を一曲披露した後、20年間の音楽活動に寄せて彼女への激励のメッセージ。彼女の人柄と幅広い交友関係を感じさせてくれる一幕だった。
彼女は「アコースティック・カフェ」というグループでも活動をしており、2枚のアルバムを所有している(画像下)。ピアノ・ヴァイオリン・チェロというまさしくアコースティックなトリオ編成なのだが、こちらはオリジナル曲ではなく、クラシックから映画音楽、ジャズ、ミュージカルまで古今東西の名曲を幅広く演奏しており、とてもオーガニックで癒されるサウンドだ。
実は彼女の演奏を初めて聴いたのは7年前の福岡在住の頃で、「アコースティック・カフェ」としての屋内でのフリーコンサートが最初だったが、至福のひとときを届けてくれた。
余談だが、自分のブログ名である「クラシックカフェ」は、この「アコースティック・カフェ」からヒントを得たものだ。
固定ファンが多いのだろう、コンサート終了後の握手会は長い行列を作っていた。ファンを大切にし、自分の音楽を追い求める彼女の音楽活動に今後もエールを送りたい。