今宵もBand Classics Library(BCL)。第1弾に引き続き、第3弾と第4弾のディスクを。吹奏楽をやっていた現役の頃からはや15年、演奏する機会はなくなっても、ディスクを通じて今でも吹奏楽を楽しめるのは嬉しい事だし、何より、自分の足跡を振り返るいい機会となった。普段、クラシック曲を聴くときと同じ位置付けで吹奏楽を聴くことで、新たな発見がいくつもあった。
バッハやモーツァルト等、クラシックの世界では現在でも新録音が次々と生まれる反面、どちらかというとこれまで過去の音源に頼らざるを得なかった吹奏楽の世界において、このBCLの意義は大きい。ホールのふくよかな残響も取り込まれ、ハイクオリティな仕上がりとなった今回の新録音は、吹奏楽ならではのサウンドの魅力を教えてくれるし、オーディオ的にも楽しませてくれる。ポップスからジャズまで、様々なジャンルをカバーできる柔軟性も吹奏楽の魅力だが、オリジナルの世界も是非大切にしたいものだ。
Band Classics Library(BCL) 3 『ノヴェナ』
①狂詩曲「ノヴェナ」(ジェームズ・スウェアリンジェン)
②序奏とファンタジア(レックス・ミッチェル)
③ジュビラント序曲(アルフレッド・リード)
④チェスター序曲(ウィリアム・シューマン)
⑤~⑦ウェールズの歌(オリヴァー・デイヴィス)
⑧マスク(フランシス・マクベス)
⑨コラールとカプリチオ(シーザー・ジョバンニーニ)
⑩序奏とカプリス(チャールズ・カーター)
⑪呪文と踊り(ジョン・バーンズ・チャンス)
木村吉宏指揮 広島ウインドオーケストラ
(2004年5月18・19日録音、さくらぴあ大ホール、広島県にて収録、Brain Music国内盤)
②序奏とファンタジア
どことなく不気味さを感じさせるマリンバによる冒頭の導入部に引き続き、トランペットによって軽快な主旋律が奏でられる。途中のトロンボーンとの掛け合いもかっこいい。後半から一気に終結部へ盛り上げていくアプローチは、さすが木村氏ならではだ。
高1の地区音楽祭(1990年11月 武蔵野音大ベートーヴェンホール)で他校と合同で演奏した曲。何せ100名位の部員がステージに上がったのだから、客席からは壮観な眺めだったに違いない(^^;オーケストラ並みの人数で一つの曲を作り上げた時の感動はまた格別。他校との友情も深まった。
⑧マスク
中3の時、当時所属していた中学校のブラスバンドクラブ(授業の一環のクラブ活動で、まだ部活には昇格していなかった)が、初めての地元の地区音楽祭(1989年 杉並公会堂)に出演した際、他校が演奏していた曲。他校の演奏力に圧倒されたのを覚えている。ショスタコーヴィッチの交響曲第5番の終楽章のようなテンポとパワーを併せ持つ曲。作曲家自身、彼の作風に影響を受けたのだろうか?
⑪呪文と踊り
高2の定期演奏会で演奏した曲(1992年3月 杉並公会堂)。どことなく謎めいた(?)曲名や吹奏楽の定番曲として、当時から人気が高かった。「呪文」を表す静かな冒頭部に引き続き、「踊り」部分ではトランペットが主旋律を奏でる展開が、どことなく「序奏とファンタジア」と似ている。広島ウィンドオケの「踊り」は、やや躍動感には欠けるものの、打楽器も数多く登場し、見せ場の多い曲。いや~懐かしい(^^)
Band Classics Library(BCL) 4 『ランドマーク』
①ランドマーク序曲(コーディル)
②シンフォニック・プレリュード(A.リード)
③アメリカン・サリュート(M.グールド)
④スターフライト序曲(R.ミッチェル)
⑤チェスフォード・ポートレイト(J.スウェアリンジェン)
⑥交響的断章(G・ネリベル)
⑦グリーンスリーブス(A.リード)
⑧吹奏楽のための第一組曲(A.リード)
(1)マーチ
(2)メロディ
(3)ラグ
(4)ギャロップ
木村吉宏指揮 広島ウインドオーケストラ
('05年3月8・9日録音、さくらぴあ大ホール、広島県にて収録、Brain Music国内盤)
⑤チェスフォード・ポートレイト
小学校時代にまでさかのぼる曲。小5・6で所属していた管楽器クラブ(こちらは今で言う部活動だった)が出場した地区音楽会(1985年か1986年時、江東公会堂)で他校が演奏していた曲。ハーモニー重視の「ロマネスク」と違い、こちらはシンプルなA-B-A展開とシンコペーションリズムで、これぞ“スウェアリンジェン”と呼べる曲。初級の技術でもそれなりの演奏効果が得られることが、絶大な支持を得ていた理由の一つだろう。
⑥交響的断章
高1の定期演奏会曲(1991年3月 杉並公会堂)。広島ウインドオケの演奏はもちろん素晴らしいが、この曲が持つ重厚感を、緊迫感のあるテンポで表現した現役時代の演奏も、部員全員が一つになって作り出した「名演」と呼べるものだったのを思い出す。当時、第1部のメイン曲だったが、聴衆の拍手も一際大きかったのが印象的だった。そんな当時の「名演」は、現在でもホームビデオにしっかりと収められている。なお、作曲者のネリベル(1919-1996)はチェコ出身で、若かりし頃は、クーベリックの助手としてチェコ・フィルを指揮していた事もあったという。人的交流の面でも、吹奏楽とクラシックは結びついているようだ(^^)
⑧吹奏楽のための第一組曲~ギャロップ
高校入学直前の3月、先輩達が定期演奏会(1990年3月 杉並公会堂)で演奏していたアンコール曲。この時のメイン曲が、あのスパークの「ドラゴンの年」だった。この「ギャロップ」が、リードの第一組曲の中の最終曲であるとは当時は知らなかったが、手拍子の打てるアンコール曲としてはうってつけの曲で、大いに盛り上がったのを記憶している。
大きな感動を与えてくれたこの吹奏楽部に、4月から自分も入部しようと心に決め、期待で胸が高鳴った一夜だった。これらのアルバムから改めて様々な思い出が蘇った(^^)
【こだクラ関連ブログ/木村吉宏&広島ウインドオーケストラ】
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