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今回、山下達郎のライヴ会場では思いがけないグッズも購入できた。それは4月にリリースされたばかりで、達郎自身が選曲・監修したという達郎作品の吹奏楽アルバム、その名も「SONG of TATSURO YAMASHITA on BRASS」(スマイル音楽出版)。ライナーノーツにも紹介されているが、達郎自身、中学・高校と吹奏楽部で、打楽器を担当。その経験が、今のミュージシャン人生にも活きているという。5曲のミニアルバムだが、おりしもブラバン世代が増えている昨今、このようなアルバムが生まれたのはブラバン出身の自分にとっても嬉しい。

収録曲は以下の通り。
1. アトムの子
2. パレード
3. さよなら夏の日
4. 硝子の少年
5. クリスマス・イブ

本人のこだわりが随所に活きたアルバムとなっている。こだわりその1は参加ミュージシャン。顔ぶれをみると、さながら「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」のヤマタツ版、といった豪華さ。まず、トランペットにはエリック・ミヤシロ、トロンボーンには中川英二郎、ユーフォニウムには外囿祥一郎の名前がクレジットされている。ブラスセクションでこれだけの人気ミュージシャンが揃っているだけでも、既に本格的なアルバム作りを目指そうという意図が見える。ライナーノーツにはレコーディング風景の写真が掲載されているが、トランペットには東京佼成ウインド・オーケストラのメンバーも。その他には、新日本フィルや東京交響楽団といったメンバーも含まれているようだ。全体では金管13名、木管12名、パーカッション2名(ドラムは山下達郎バンドの小笠原拓海が担当)の計27名程度。吹奏楽編成の中では中編成に属するが、プロが集結すると、充分厚みのあるサウンドが得られることを証明してくれている。

こだわりその2はアレンジャー。吹奏楽でも名編曲家として名を馳せている三宅一徳、狭間美穂、大坪稔明の3名が担当しており、達郎サウンドを最良の形で吹奏楽サウンドで届けてくれている。個人的には「アトムの子」、「パレード」、「硝子の少年」のアップテンポの曲が楽しめた。「アトムの子」はドラムの小笠原拓海が参加によってライヴさながらのグルーヴ感が再現されているし、「パレード」はオリジナルもホーンセクションが参加しているだけに、原曲さながらのアレンジが嬉しい。エリック・ミヤシロのハイノートもいつもながらに映えており、実に爽快だ。

そして、こだわりその3は、今回のCDアルバムリリースと共に、スコアとパート譜も同時発売されている点。今後、多くのバンドで演奏してほしいものだ。