春の嵐が到来。帰宅する頃にはズボンも靴もびしょぬれ。どうやら日本全国が荒れ模様の一日だったようだ。そんな春の陽気?のせいか、昨日のビル・エヴァンスに引き続き、今日もジャズを・・・。ジャズ曲の多くを知らない自分がCDを購入する時のモットーがある。それは必ずCD店の試聴機で試聴する事だ。アーティストはあまり気にしない。・・・というよりあまりアーティストについての知識がないから(^^;何曲目でもいい、どれか1曲が自分のフィーリングと合うかどうかがまず基準となる。そして全体に漂うテイスト、というのだろうか。要はそのアルバムとの相性を自分の耳で確かめてから購入をしている。
そうやって購入したジャズCDはもう100枚近くに及ぶが、ここにまた新しいアルバムとの出逢いがあった。エリック・レニー二 トリオ。アーティストについて自分は全く知らない。ただ、試聴で聴いた時の「煙が目にしみる」のソロ・ピアノヴァージョンにまずしびれてしまった。これぞ、JAZZ!とでもいうのだろうか。
この曲に自分なりのこだわりのある思い出の曲。社会人1年目の冬だっただろうか、中野サンプラザで聴いた山下達郎のライブ。学生時代からファンクラブに入会してはいたものの、生の?ヤマタツはこの時が初めてだった。浪人生時代に発売されたヤマタツの「シーズンズ・グリーティングズ」というアルバムの中に「煙が目にしみる」は収録されていた。そこでは“夏だ、海だ、タツローだ”のキャッチフレーズの如きノリとは違っていた。永遠のスタンダードナンバーともいえるこの曲をしっとりと、しかし内には熱き情熱を込めながら歌い上げるステージ上の達郎の姿があった。その時の感動が今でも忘れられない。
このエリックア・レニー二のアルバムにはソロの他に、日本盤のみの特典として、ピアノトリオヴァージョンもボーナストラックとして収められている。これもまた良かった。しかし、このアルバムは冒頭の1曲だけではなく、全体に漂うテイストもまた良かった。ジャズ評論家の寺島靖国氏が賞賛のコメントをライナーノーツに寄せているが、ジャズのルーツである黒人音楽へのリスペクトが散りばめられているのがアルバムを通じて感じられる。
プロフィールによるとレニー二はイタリア系ベルギー人という。70年生まれだから自分ともほぼ同世代だ。キース・ジャレットに大きな影響を受けたという。この世代にして既に大器を感じさせる演奏。今後注目していきたいアーティストの一人となった。