社会人アマチュア合唱団に入団してはや一ヶ月。週末の練習への参加も6回目を数えた。回を追うごとに、バッハの音楽が、身近に感じるようになってきた。約300年前に作られた音楽を再現しているという感覚。まさに音楽は再現芸術だということを改めて感じさせられる。本番で歌う「ヨハネ受難曲」は約30曲の合唱シーンがあるが、練習では、20曲程を既に取り組んできた。自分自身、音と歌詞にはあやふな部分も多く、まだまだ練習を積まないといけないが、それでも合唱全体の3分の2をこの一ヵ月でカバーできた事は、本番に向けた自信にもつながりつつある。入団一ヵ月を通じて感じた事を、ここでドキュメントしておきたい。(画像:「ヨハネ受難曲」楽譜の合唱パート)
○宗教曲は奥深い!
イエスにまつわる曲というと、それまでヘンデルの「メサイア」位しか聴いていなかったが、「ヨハネ受難曲」を実際に歌い始めたことで、宗教曲という世界の奥深さを感じるようになった。時に雄弁であり、時に美しく、時に物悲しい旋律の数々。ここには時代を超え、人間の普遍的な喜怒哀楽の要素が詰まっているように思う。
一つの作品としてみれば、2時間を超える演奏時間を要するこれらの曲は、交響曲より長大なジャンルでもある。オケ・ソリスト・合唱というスタイルは、交響曲においてもベートーベンが第9で、メジャーにさせたが、バッハに代表されるこれらの宗教曲は、いわばその元祖でもあるわけで、クラシックのルーツをたどるという意味において重要だ。
聴き手にとっては、長い演奏時間を要すことや、作品のテーマ上、とっつきにくい世界にも感じる(自分自身がそうだった)。しかし、そこに描かれているのは、バッハが独唱と合唱を用いて描いたイエス像の姿、と思えば音楽もより身近に感じてくる。実際にヨハネ受難曲の中では、独唱と連動した合唱以外に、単独のコラールもあり、結婚式で教会に集った時に歌う賛美歌のような美しい旋律が多い。
現在の練習では伴奏楽器はピアノだが、本番はプロのオケとの共演。今からわくわくしてくる!
○ドイツ語はやっぱり難しい!
音は取れても、言葉が中々発られないもどかしさ、それがドイツ語の難しさだったりする。まず筆頭に挙げられるのが、ウムラウト。練習中に何度も指示が飛ぶのも、ウムラウトの発音の箇所だったりする。それだけ、日本人には馴染みのない発音だから、これは練習で習得する以外ないだろう。
その点、「r」の巻き舌は、シンプルなので発音しやすいがゆえに、ついつい忘れてしまったりするから要注意の箇所でもある。
ドイツ語は、重厚に響くので、聴き手としてはアカデミックに聴けるだが、歌詞はイエスの受難を意味する言葉も多く、生々しい事が語られていたりもする。まあ、自分の中で歌詞の意味を理解できるようになるためには、まだ先のステップになるが・・・。今更ながら、大学時代、ドイツ語を専攻していた事が多少は役にも立っているかも(^^;
○発声指導が役に立つ!
練習では、プロの声楽家が指揮をされるだけあって、発声指導がとても役に立っている。よい声を出すコツを、言葉だけでなく、自らの声で模範を示してくれるので、イメージがしやすいのだ。いわばプロの方の公開レッスンを受けているようなもので、それだけでも合唱の練習に参加できてよかった、と思う事がある。普段はソリストとしても活躍されている方だけに、バッハやハイドン、ヘンデル等、宗教曲の世界観を教えてくれるのも興味深い。各個人→各パート→4パートが最終的に正しい発声と音で音楽的に歌えるようになった時、合唱としての醍醐味が味わえる。
○個性豊かなメンバー!
合唱のメンバーには様々な方がいる。定年を迎え、第2の人生の中で合唱を楽しまれている方、この秋、司法試験に合格された方、プログラマーの方、証券マンの方、医者の方、建築士の方・・・。そんなメンバーが、「ヨハネ受難曲」を歌うという一つの目的のもとに集う。中には大学時代、男声合唱で歌っていた方もおり、共通点も感じる。会社とは違うコミュニティで、年齢や立場を超えて、色々な方とコミュニケーションが図れるのも、こういう活動ならでは。自分と同じ30代のメンバーも多いこともあって、練習後は、「後練」と称した飲み会も日々開催されている(^^) 腹式呼吸でお腹を使った後は、ほどよくお腹も減って、お酒も美味しく飲めるものだ(^^)