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ここ2週間ほど、シューベルトの曲を聴く回数がぐっと増えてきた。他の作曲家に比べ、シューベルトの作品はこれまであまり聴く事はなかったから、「熱狂の日」が一つのいいきっかけになったようだ。この機会に、シンフォニーが好きな自分にとって改めて交響曲作品に親しんでみようという気になった。シューベルトの交響曲というと、表題の入る「未完成」や「グレイト」がどうしても注目されるが、今回、聴き馴染みのしやすい作品が他にもあることに改めて気づかされた。今回は名門、ベルリン・フィルの演奏でシューベルトの魅力に浸ってみたい。

○シューベルト:交響曲第3番 ニ長調  D.200
○シューベルト:交響曲第5番 変ロ長調 D.485

ダニエル・バレンボイム指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
('84年7・8月録音、フィルハーモニーホール、西ベルリン、にて収録、CBSソニー国内盤)


第5番は既にブルーノ・ワルター盤をきっかけに、ギュンター・ヴァント盤でも親しんできたが、今回、第3番は新たな魅力を感じる曲となった。シンプルで分かりやすい旋律や楽章構成は、ハイドンの交響曲と通じるものを感じる。
同じ4楽章形式でも約1時間近くかかる「グレイト」に比べ、適度な演奏時間である所にも身近さがあるように思う。
第5番程の歌謡性はないかもしれないが、子守歌としても聴けそうな2楽章やモーツァルト的な作風も感じさせる3楽章のメヌエット、冒頭からわくわくさせる気持ちに誘ってくれる4楽章等、初めて聴いても、シューベルトの作品にはとっつき安さがある。シューベルト(1797-1828)18歳(1815年)の頃の作品。まさしく青春期の作品だが、モーツァルト(1756-1791)も17歳(1773)にはあの「交響曲第25番」の名曲を完成させていた。共に早熟な二人だ。

曲の性格にもよるのだろうが、いつもは分厚い音を聴かせてくれるベルリン・フィルの弦も、ここでは軽やかで爽やかな美演を聴かせてくれる。桜の季節が終わり、これから新緑の季節となる5月のシーズンにもぴったりな雰囲気の曲。シューベルトもウィーンの緑を仰ぎ見てこの曲を作曲したのだろうか(^^)

ベルリン・フィルの本拠地であるフィルハーモニーホールの音響も貢献している。録音も素晴らしいなと思ってライナーノーツのクレジットを観ると、テラークでお馴染み「ジャック・レナー」と最近では自主制作レーベル「LSO」でも名前をしばしば見かけるトニー・フォークナーの名前が・・・。'84年といえば、まだドイツ統一前でベルリン・フィルはカラヤンが君臨していた時代。当時のCBSの意気込みを感じさせる一枚だ。