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ピョートル・アンデルジェフスキというピアニストがいる。CDジャケットのスーツをさらっと着こなしている姿が今風で、女性ならジャケ買いしそうなイケメンだ。ライナーノーツには日本向けのコメントも寄せており、来日公演に向けたレコードメーカーのプロモーションの意図も伺えるものの、ファンづくりに向けた配慮も感じられる。名前からロシア人と思いきやポーランド人とハンガリー人の両親の元に1969年に生まれた若手のピアニスト。

曲はモーツァルトのピアノ協奏曲第20番と17番(Virgin 2005年録音)。

ピアノは実に現代的な演奏。ここにスコットランド室内管弦楽団の古楽器的奏法による伴奏が加わり、モダンとトラディショナルが見事に融合した演奏となっている。それがかえって新鮮味があって良い。知名度の高い20番よりも17番にモーツァルトならではの小気味良さが出ており、個人的にはこちらが良かった。ここでは弾き振りをしており、特典として収録されているCDエクストラの映像にはその引き振りの収録風景を一部垣間見る事もできる。

既にソロのアルバムもリリースされており、別途所有しているバッハのフランス組曲第5番の演奏は1998年の録音(ハルモニアムンディ)だからまだ20代。若手ピアニストというプロフィールがもったいない位の落ち着きと、品位が感じられる演奏だ。彼のこれからの活躍に期待したい。