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バロック界に今後更なる新風をもたらしてくれるであろうアルバムに出会う事ができた。ロンドン・コンコルド・アンサンブル。イギリスの一流オケ(BBC交響楽団)やの主席奏者クラスのメンバーら若手10人によって結成された団体という。

アルバムにはバッハの「管弦楽組曲~第2番」「ブランデンブルグ協奏曲より2・4・5番」、「オーボエ・ダモーレ協奏曲」「主よ人の望みの喜び」等、人気の高い名曲が2枚組で収録されている。

彼らの演奏を一言でいうと、有機的なハーモニー、とでもいうのだろうか、各々の奏者が作り出した一つ一つの音が見事に溶け合い、とても10人とは思えないほど濃密な音楽を作り出している。

ハーモニーと共に惹かれたのはその響き。どことなく木質のしっとりした感じが漂う。それはまるでウィンドアンサンブルを聴いているかのような温かみのある響きだ。ここでは弦楽器と共にオーボエやフルート、ホルン、ピアノが登場するが、一つのサウンドとして見事に融合されている。

彼らの音楽は古楽器ではなく通常のモダン楽器での演奏だが、全く違和感はない。要は作曲当時の楽器や奏法の問題だけではなく、当時から脈々と受け継がれてきた(トラディショナル=)音楽を演奏家が現代の響き(=モダン)としてどう再現できるかだと思う。

このモダン&トラディショナルな感覚はロンドンを中心とするイギリスの団体に多く備わっていると思う。ホグウッド/エンシェント室内管弦楽団やガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、ピノック/イングリッシュ・コンサート、ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズはその先鞭を付けたといっていいだろう。ヨーロッパ大陸の伝統を自国の文化と融合させ、独自のものに高めていく革新性にも長けているのだろう。同じ島国である日本との共通性もあるように思う。

その点、ロンドン・コンコルド・アンサンブルは10人という小規模アンサンブルによる機動性と若さの面においての鮮度の高さが、全てプラスに作用しており、モダン&トラディショナルのモダンな部分がより顕著に出た演奏といえるだろう。

個人の某HPでこのCDのレビューが掲載されていた事がこの団体を知るきっかけとなった。その強い推薦のコメントに触発され、タワーレコードで注文、取り寄せには約一ヶ月かかった。

彼らのホームページをご覧になって頂くとお分かりの通り、とにかく若い奏者達だ。78年生まれの奏者(美しい日系ドイツ人の方だ)いうから、今やクラシック演奏家も自分より下の世代がどんどんと世の中に出てきたなあという感じ。今後の動向に引き続き注目していきたい。

<ロンドン・コンコルド・アンサンブルの公式HP>
http://www.conchord.co.uk/main.htm
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