久しぶりにピアノウィークな一週間となりそうだ。日曜日に引き続き、水曜日にもピアノコンサートへ。名曲系の慣れ親しんだプログラムのコンサートと、オール・ドビュッシー・プログラムのコンサーという、それぞれ嗜好に富んだメニューを味わう楽しみもある。芸術の秋、気軽な気分で生のコンサートも楽しみたい。
○三舩優子名曲リサイタル
(10月21日 フォーラム ホール)
休日の秋晴れの午後、地元で開催されていたコンサートへ。モーツァルトの「トルコ行進曲」に始まり、「幻想即興曲」、「ノクターン」、「愛の夢」、「ラ・カンパネラ」と珠玉の名曲が並ぶ。聴き慣れている曲でも生演奏で聴くと、なぜこれらの曲が多くの人々に愛されているのかが改めて伝わってくる。NHK BS-2の番組で司会も務めている彼女にとって、MCも身近な人柄を感じさせるものだった。この日の聴き所はラストに演奏されたガーシュウィンの編曲による、ピアノ・ソロ版「ラプソディー・イン・ブルー」。これまでも吹奏楽版や、ビッグバンド版は聴いてきたが、ピアノ・ソロ版を聴くのは初めてだ。
ピアノ1台でオーケストラ版と同様の色彩を出すには相当な難易度になると思うが、オーケストラと匹敵するサウンドを見事に引き出していた。オケ版に親しんでいた自分にとっては頭の中で常にオケパートが鳴りっぱなしになっていた。6~12歳をニューヨークで過ごしたというだけあって、ジャズのリズムも見事に体得された演奏。
終演後のロビーでのサイン会では最新アルバムを購入。この日の演奏を改めて振り返る一日となった。
○中井正子ピアノリサイタル
(10月24日 浜離宮朝日ホール)
"ドビュッシー/ピアノ作品全曲演奏会Ⅲ"と題されたコンサート。毎年同ホールで開催されており、タイトルの通り今回で3回目となる演奏会。オール・ドビュッシー・プログラムは自分にとって初めての経験で、CDではジャック・ルヴィエやミシェル・ベロフの演奏の知識程度しかなく、ドビュッシー初心者の自分にとっては勉強になる演奏会だった。
曲目は以下の通り。
・〔映像〕第1集
・〔映像〕第2集
・〔12の演習曲〕第1巻
・〔12の練習曲〕第2巻
~アンコール:「夢想」/「アラベスク第1番」
正当派のドビュッシー。
一聴して感じるのはドビュッシーの世界は、ベートーヴェンやモーツァルトと違って何となく捉え所がない音楽、という事。ピアノから生み出される音の波形にひたすら浸る・・・といった感じだ。ロジックではなく、現象を捉えた音楽。これが印象派と呼ばれる所以なのだろう。
そういえば、社会人になって出演した高校時代のOB吹奏楽団の演奏会でドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」を演奏した事があったが、吹奏楽アレンジ版でもドビュッシー独特の世界が漂っていた。
アンコールでようやく自分の知っているドビュッシーの名曲に出会え、一安心(^^;ドビュッシーへの敬愛ぶりが伝わる演奏会だった。
浜離宮朝日ホールでのコンサートは、3月に聴いた宮谷理香ピアノリサイタル以来、2回目となるが、スタインウェイの美しい響きと相まって、いつもながらに素晴らしい残響だった。