画像

2009年夏。今年は忘れられない夏となった。クラシックに縁のあるヨーロッパ4ヵ国を巡る旅。これまで約四半世紀に渡ってクラシック音楽を趣味として楽しんできた自分にとって、常々ヨーロッパには一度訪れたい、そんな思いがあった。既に、1997年にロンドンを中心としたイギリス滞在は経験していたが、同じヨーロッパでも島国と陸続きでは、地理的にも、歴史的にも、文化的にもやはり違いがある。中でも、「中欧」に属する4ヵ国「ドイツ」「オーストリア」「チェコ」「ハンガリー」はクラシック音楽が発展した歴史上においても重要な国。例えば、著名な作曲家達。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、マーラー、ドボルザーク、スメタナ、コダ―イ、バルトーク・・・。ちょっと思い浮かべるだけでも、全て、これら4ヵ国の出身者だ。

また、例えば、オーケストラ。「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」、「シュターツカペレ・ドレスデン」、「チェコ・フィルハーモニー管弦楽団」、「ブタペスト祝祭管弦楽団」。今回訪れた各国の都市には、歴史や文化に根ざしたオーケストラがある。ウィーン・フィル、チェコ・フィルは自分自身、以前からディスクを通じて愛聴してきたオケだし、シュターツカペレ・ドレスデンは、この4月に日本での公演を聴いたばかり、と接点があった。また、この3月にバッハの「ヨハネ受難曲」をドイツ語歌唱で歌う経験をした事もいいきっかけとなった。

今回、そんな夢がかなう時がきた。訪れた主要な都市は、ハンガリーの「ブタペスト」、オーストリアの「ウィーン」、ドイツの「ドレスデン」、チェコの「プラハ」。それぞれの国の景観、文化、歴史、民族・・・国毎・都市毎に違う「空気」を自分の五感で感じることで、それまで頭の中でしか描けなかったヨーロッパが現実のものになった。と同時に、より国・街への愛着がわき、これまで以上に、クラシック音楽が身近に感じるようになった。今回の旅は、自分にとっての今後の音楽の聴き方を変えてくれるきっかけとなったように思う。

約1週間という駆け足な旅ではあったが、自分にとってはクラシック巡礼ともいえる旅で、ある意味、クラシックのルーツを訪ねる旅、と言ってもいえるだろう。自分の五感で感じた今回の旅を綴っておきたい。