フィリップ・スパーク(b.1951)の作品の中にソプラノ・コルネットをフィーチャーした感動的な曲がある。「フラワーデール」(Flowerdale)というのがそれで、「ハイランド讃歌」という組曲の中の一曲。前半の美しく、叙情的なメロディはどことなく、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」を思わせる。後半は特に魅せ場となっており、ソプラノ・コルネットならでは高音域と、ハイトーンでクライマックスを迎えるエンディングはまるでオペラの「誰も寝てはならぬ(トゥーランドット)」のよう。4分半程の短い曲だが、実にドラマティックな展開に心が打たれる。
英国式金管バンドというと、コンサートマスターの位置付けであるプリンシパル・コルネット奏者にスポットが当たりがちだが、金管バンドの中で最高音域を受け持つソプラノ・コルネットも相当な主役だと思う。ソプラノ領域を受け持つ楽器として一人のみのパートなので、バンドに輝きを与えると同時にミスした音はすぐに分かってしまうというリスクもある。
この曲はユーチューブのライヴ映像で知ったのがきっかけだった。
https://www.youtube.com/watch?v=SGEAP662DCw&list=RDSGEAP662DCw#t=14
ソロを奏でるのはピーター・ロバーツ(b.1950)。ライヴながら、完璧に吹き切る姿が超人的で、且つ歌心たっぷりに奏であげる。こんなソプラノ・コルネット奏者が世の中にいたとは!フィリップ・スパーク自身、彼の為にこの曲を書いたという。そんな「フラワーデール」はCD上でも何枚かのアルバムで聴くことができる。こだクラでは2枚を所有、一枚はオリジナルの組曲「ハイランド讃歌」が納められたアルバム「HYMN of the HIGHLANDS」(2002年3月録音、サルフォード大学にて収録、Polyphonic海外盤、画像右)、もう一枚は彼のソロ曲がまとめられたアルバム「Legend」(2003年7・10月録音、サルフォード大学ピール・ホールにて収録、EGON海外盤、画像左) だ。2002年の録音は2003年の録音に比べるとややゆったりとしたテンポな分、作品としてのスケール感が出ている。また、2003年の録音はソロ曲のアルバムだけに、ややオンマイクに録られているが、臨場感とドラマ性がより前面に出ており、どちらのアルバムにもそれぞれの良さがある。
伴奏は、彼と共に黄金期を築き上げた、ディビット・キング指揮のヨークシャー・ビルディング・ソサエティ・バンド。ピーター・ロバーツ在籍中はヨークシャー・ビルディング・ソサエティ・バンドと共に数々のコンクールで目覚ましい功績をあげている。彼はこのバンドに約7年の在籍期間の後、2004年にブラック・ダイク・バンドに移籍したようだ。2003年のアルバム「LEGEND」は移籍1年前の録音だけに、本人にとってもヨークシャー・ビルディング・ソサエティ・バンドとこれまでに築き上げた集大成の音源といえるかもしれない。
ブラス経験者も、そうではない人も万人に受ける名曲としてオススメしたい。
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この曲はユーチューブのライヴ映像で知ったのがきっかけだった。
https://www.youtube.com/watch?v=SGEAP662DCw&list=RDSGEAP662DCw#t=14
ソロを奏でるのはピーター・ロバーツ(b.1950)。ライヴながら、完璧に吹き切る姿が超人的で、且つ歌心たっぷりに奏であげる。こんなソプラノ・コルネット奏者が世の中にいたとは!フィリップ・スパーク自身、彼の為にこの曲を書いたという。そんな「フラワーデール」はCD上でも何枚かのアルバムで聴くことができる。こだクラでは2枚を所有、一枚はオリジナルの組曲「ハイランド讃歌」が納められたアルバム「HYMN of the HIGHLANDS」(2002年3月録音、サルフォード大学にて収録、Polyphonic海外盤、画像右)、もう一枚は彼のソロ曲がまとめられたアルバム「Legend」(2003年7・10月録音、サルフォード大学ピール・ホールにて収録、EGON海外盤、画像左) だ。2002年の録音は2003年の録音に比べるとややゆったりとしたテンポな分、作品としてのスケール感が出ている。また、2003年の録音はソロ曲のアルバムだけに、ややオンマイクに録られているが、臨場感とドラマ性がより前面に出ており、どちらのアルバムにもそれぞれの良さがある。
伴奏は、彼と共に黄金期を築き上げた、ディビット・キング指揮のヨークシャー・ビルディング・ソサエティ・バンド。ピーター・ロバーツ在籍中はヨークシャー・ビルディング・ソサエティ・バンドと共に数々のコンクールで目覚ましい功績をあげている。彼はこのバンドに約7年の在籍期間の後、2004年にブラック・ダイク・バンドに移籍したようだ。2003年のアルバム「LEGEND」は移籍1年前の録音だけに、本人にとってもヨークシャー・ビルディング・ソサエティ・バンドとこれまでに築き上げた集大成の音源といえるかもしれない。
ブラス経験者も、そうではない人も万人に受ける名曲としてオススメしたい。
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