前回に続いてモーツァルトのピアノ協奏曲を。スヴャトスラフ・リヒテルのサントリーホールライブ。こんな録音が残されているとは知らなかった。ショスタコーヴィッチの交響曲全集アルバムで名盤を残している指揮者ルドルフ・バルシャイとの共演のもの。過去1970年にN響とリヒテルが共演した際の指揮もバルシャイだったという。リヒテルの日本公演での協奏曲は、あと指揮者フェルディナント・ライトナーと共演するのみで、このライブ録音は日本での最後の共演の記録という。さて、曲目は・・・
ピアノ協奏曲第1番、第5番、第18番
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ルドルフ・バルシャイ(指揮)
新星日本交響楽団
(’94年3月3日ライブ、サクランボウ)
ここでは普段あまり取り上げる事が少ないと思われるモーツァルト初期の協奏曲が3曲演奏されている。リヒテルのピアノから受ける印象はどっしりとした風格の漂うモーツァルト。テンポにやや腰の重みも感じる部分もあるが、それがマイナス要因には作用してはいない。モーツァルト17歳の時の最初の協奏曲とは思えない協奏曲第一番のはつらつとした作品も気に入った。
オケは新星日本交響楽団。ストリングスセクションに若干痩せた感はあるものの、サントリーホールの豊かな残響に助けられていい響きを作り出している。何より、バルシャイの指揮が好サポートなのだろう。
新星日本交響楽団はその後、東京フィルハーモニー交響楽団に吸収されており、二重の意味で貴重価値がある録音だ。アルバム化をしたサクランボウレーベルに感謝したい。