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前回エントリーした『パイレーツ・オブ・カリビアン』の「運命の輪」を機に、こだ蔵にある所有ディスクをここでエントリーしておきたい。数えてみたら14枚もの音源が!ディズニーや映画関連のアルバムに数多く収録されていたことに驚かされた。しかもオケ版から吹奏楽版だけでなく、金管バンド版、管楽器バンド版、ホルン・アンサンブル版、ウクレレ版といったたくさんの編曲が存在。この曲が改めて多くの人に愛聴されていることに気付かされた。
この映画音楽の持つ雰囲気をアレンジによって如何に出せるかが大きなポイント。音源によっては当たり外れもあったことも否めないが、14枚のディスクの感想を綴っておきたい。

【オーケストラ版】
■トルガ・カシフ/ニック・レイン指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
 (2005~2006年録音、エンジェル・スタジオにて収録、RPO海外盤、ジャケット画像最上段左)


以前もエントリーしたアルバム「FILMHARMONIC」に2曲収録。1曲はシリーズ第1作『呪われた海賊たち』で、編曲はChristopher Tin、もう1曲はシリーズ第2作『デッドマンズ・チェスト』で、編曲はMatt Hohenseeによるもの。特に「デッドマンズ・チェスト」では、後半部で個人的に好きな「運命の輪」のハンス・ジマーらしい重厚な旋律も演奏されており、 英国名門のロイヤル・フィルの迫力のあるサウンドを楽しめる。2曲共にオケ版の一つのお手本といえるだろう。

■カール・デイヴィス指揮 ロイヤル・リバプールフィルハーモニー管弦楽団
 (2008年7月録音、St George's Hall,Blackburnにて収録、NAXOS海外盤、ジャケット画像上段左2つ目)


こちらも過去にエントリーしたアルバム「Great Movie Theme 2」に収録。曲はシリーズ第1作からのもので、アレンジはTed Rickettsが担当。本ブログでも過去にバーンスタインガーシュウィンなど、名盤を残しているカール・デイヴィス(b.1936)が指揮を務めているだけに、テンポの運び方が巧く、聴かせるツボを心得えた演奏。

■James FitzpatRick, Nic Raine指揮 プラハ・シティ・フィルハーモニー管弦楽団 Crouch End Festival Chorus
 (SILVA SCREEN RECORDS海外盤、ジャケット画像上段左3つ目)


アルバム「Film Music Of Hans Zimmer」に収録。シリーズ第2作より「クラーケン」、第1作より「交響組曲」の2曲が収録。演奏するプラハ・シティ・フィルの名前はこれまで聞いた事がなかったが、オケやジャズなどのミュージシャンから選抜されたメンバーによるオケだという。驚いたのはジャケットの演奏者名の記載の中に、あのチェコ・フィルの元首席トランペット奏者、ミロスラフ・ケイマル(b.1941)の名前もクレジットされていた点。選抜メンバーである意味が分かるような気がする。「クラーケン」の迫力あるアクションスコア、「交響組曲」での合唱も加わった楽器編成とサウンドの厚みはまるでオリジナルのサントラさながらで、演奏にもキレがあり、スタジオワークに慣れた実力派揃いのオケであることを窺わせる。録音も優秀。

■竹本泰蔵指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
 (2006年1月録音、大田区民ホール アプリコ大ホールにて収録、キングレコード国内盤、ジャケット画像上段左4つ目


アルバム「シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー9」に収録。シリーズ第1作より「霧の境界線~彼こそが海賊~最後の銃弾~ブラックパール号~海賊の印~海賊の洞窟」というサントラより6曲から成る構成。基本的にカール・デイヴィス版と同じスコアと思われるが、こちらは演奏が1分近く遅く、デイヴィス盤を聴いた後だと、鈍重なテンポ感にどこかもどかしさを感じてしまった。日本のオケによる音源としては貴重。

【吹奏楽版】
■小林恵子指揮 東京佼成ウィンドオーケストラ
 (2011年1月録音、サウンドインAスタジオにてにて収録、ユニバーサル国内盤、ジャケット画像2段目左)


「ニュー・サウンズ・イン・ブラス ハピネス・ベスト~ディズニーセレクション2~」に収録。シリーズ第1作及び2作より「黄金のメダル~ジャック・スパロウ~デイヴィ・ジョーンズ~彼こそが海賊」のメドレーで、編曲は森田一浩氏によるもの。ポピュラーステージでの演奏も意識された、この映画のエッセンスが詰まった編曲。前半のトランペットのソロもどこかニュー・サウンズらしさを感じさせる。

■佐渡裕指揮 シエナ・ウィンド・オーケストラ
 (2007年11月録音、横浜みなとみらいホール録音にて収録、ウォルト・ディズニー・レコード国内盤、ジャケット画像2段目左2つ目)


アルバム「ディズニー・オン・ブラス」に収録。シリーズ第1作より「霧の境界線~黄金のメダル~ブラックパール号~海賊の洞窟へ!~彼こそが海賊」が演奏されている。アレンジは清水大輔氏によるものだが、冒頭のチェロに加え、シンセも全体に渡り加わっているため、もはや吹奏楽版の域を越えているが、オリジナルスコアには最も迫ったアレンジといえる。

■飯森範親指揮 大阪市音楽団
 (EPIC RECORD国内盤、ジャケット画像2段目3つ目)


アルバム「青空エール 吹奏楽音楽集」に収録。「青空エール」は河原和音氏原作の漫画で、本アルバムはイメージ・サウンドトラックとしての位置付け。シリーズ第1作より「黄金のメダル~ブラックパール号~海賊の洞窟へ!~ワン・ラスト・ショット~彼こそが海賊」がメドレー形式で演奏されており、編曲はJohn Wassonによるもの。クロード・T・スミス等の名盤も世に送っている飯森氏&大阪市音楽団だが、ここではスリリングさにはやや欠けるものの、上記のニュー・サウンズ盤と共に、ウィンド・バンドが演奏しやすい吹奏楽らしい編曲に仕上がっているのが好ましい。

■武田晃指揮、陸上自衛隊中央音楽隊
 (サウンドインスタジオにて収録、エイトカンパニー国内盤、ジャケット画像2段目4つ目)


アルバム「究極の吹奏楽~夢の国編」に収録。シリーズ第1作より、「黄金のメダル~ブラックパール号~彼こそが海賊」のメドレー版。編曲は佐渡&シエナ盤でもアレンジを務めた清水大輔氏が担当。メドレー形式だが、各シーン毎に演奏がぶつ切りになっているのが、少し残念。自衛隊らしい完成度の高い演奏だが、この曲の持つスリリングさはあまり感じなかった。

■スタジオミュージシャン?
 (ビクター国内盤、ジャケット画像3段目左)


アルバム「ブラス・ベスト・セレクション~ファンタジー~」にて収録。ここでは「彼こそが海賊」の1曲のみ。編曲者名未記載。冒頭からドラムから取り入れたかなりポップなアレンジで、原曲からかなりかけ離れてしまったところに賛否が分かれるところ。スーパーでかかるBGMのように聞こえてしまうとこが、個人的には引いてしまった。演奏者名もクレジットされていないのは、リスナーにとっても不親切では・・・。

■若林義人指揮 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部
 (2010年5月録音、龍谷大学青朋館にて収録、ウィンズスコア国内盤、ジャケット画像3段目左2つ目)


以前、「ディズニー・メドレー」でエントリーしたアルバム「ウィンスコセレクト~ディズニー・アット・ザ・ムービー~」に収録。ここでは「交響組曲」と名打ったタイトルで、シリーズ第3作『ワールド・エンド』より、「Hoist The Coluurs,Up Is Down,One Day,Drink Up Me Hearties」の3曲がセレクトされている。編曲はJay Bocookが担当。ホルン・セクションの技術力が否めない部分もあるが、学生団体としては充分に健闘した演奏。「ワールド・エンド」の編曲版として貴重な音源。

【金管バンド版】
■ニコラス・チャイルズ指揮 ブラック・ダイク・バンド
 (2015年11月録音、Morley Town Hallにて収録、DOYEN海外盤、ジャケット画像3段目左3つ目)


英国の名門金管バンドによる音源。「運命の輪」に特化した演奏。前回エントリー済みの為、感想はそちらに委ねたい。
 (関連リンク:迫力のブラスサウンド!『パイレーツ・オブ・カリビアン』より「運命の輪」

【管楽器バンド版】
■トレッキング・ミュージシャンズ
 (ウォルト・ディズニー・レコード国内盤、ジャケット画像3段目左4つ目)


アルバム「オール・ザット・ブラス3」に収録。東京ディズニー・シーで活躍するトレッキング・ミュージシャンズによるもの。「海賊のくらし~ヨーホー~彼こそが海賊」が約2分半のショートメドレーで演奏される中に含まれている。過去「トランペット・ラブレター」でエントリーした石川亮太氏が編曲を担当しており、親近感のある演奏。

【ホルン・アンサンブル版】
■ウィンナ・ホルンズ
 (2008-2009年録音、オーストラリア放送スタジオにて収録、ORF海外盤、ジャケット画像4段目左)


アルバム「VIENNA HORNS DIRECTOR'S CUT」に収録。楽曲内ではシリーズ第1作より「The Medallion Calls~One Last Shot~Jack Sparrow~The Black Pearl~He's Pirates」の順で演奏。アレンジはAlexander Wagendristelが担当している。ハンス・ジマー作品には欠かせないホルン・セクションの魅力が詰まった演奏で、ここでは12名のホルン奏者+打楽器にて演奏。しかも楽器は団体名の通りウィンナ・ホルン!ハンス・ジマーの作品がまるでワーグナーを聴いているかのような広がりが感じられ、今回エントリーした中でもマイベストとなった音源の一つ。

【ウクレレ版】
■ジェイク・シマブクロ
 (ブルー・プラネット・サウンド・スタジオにて収録、ホノルルウォルト・ディズニー・レコード国内盤、ジャケット画像4段目右)


人気ウクレレ奏者、ジェイク・シマブクロ(b.1976)によるウクレレ版。ウクレレ1本で「彼こそは海賊」をアレンジ!ハワイアンなテイストはそのままに、パイレーツの世界を表現している。