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先日のピアノデュオリサイタルの感動を再び…タイミング良く、ピアノデュオCDを早速2枚手に入れる事ができた。
まずはじめの1枚は先日のアンコールで演奏されたピアノデュオのスリリングな名曲、ルトスワフスキの「パガニーニの主題による変奏曲」が収められた演奏をマルタ・アルゲリッチ&ネルソン・フレイレ盤で(1982年8月録音、ラ・ショー・ド・フォン、フィリップス原盤)。ちょうど5月にリリースされたばかりの再発盤。

ジャケット(上の画像)からして並々ならぬ気迫が漂ってくる。ピアノの前で向かい合うアルゲリッチとフレイレ。タバコを片手に持ったフレイレにカウボーイ・ハットをかぶせればまさに“夕陽のガンマン”のよう。「見つめ合っている」二人、というよりこれから対決が始まる前の「睨み合っている」二人、というべきか…?

収録曲は以下の3曲。
①ラフマニノフ:組曲第2番
②ラヴェル:ラ・ヴァルス
③ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲

最初にディスクの最後に収められている③ルトスワフスキを最初に聴いてしまったのが間違い(?)だったのかもしれない。まさにピアノによる“バトル”が繰り広げられているようだ。二人のどちらがプリモ・セコンドなのかは分からない。姿は見えなくとも、ダイナミック、パワフル、エネルギッシュ・・・そんな言葉が頭をよぎってくる演奏だ。当時二人は40代で演奏にも油が乗っている時代。共に南米出身の二人にとって、熱い血がほとばしるような情熱が伝わってくる。二人が日本に来日した際にもよく演奏している定番曲のようだ。そんな情熱は②ラヴェルの「ラ・ヴァルス」でも見え隠れする。一方、同ディスクに収録の①ラフマニノフは初めてだが実に耳に馴染みやすい曲だった。

「パガニーニの主題による変奏曲」といえば、まずラフマニノフによる同名の曲が思い浮かぶが、ルトスワフスキの現代的な作風を聴いて思ったのは、もしもパガニーニの主題をモチーフにしたジャズ曲があれば、どんな即興が生まれるだろうか?という事。きっと斬新な演奏になるだろう…そんな興味がわいてくる。

一方、もう一枚のピアノ・デュオCDはラヴェル作品集(1990年6月録音、ザ・モールティングス、スネイプ、サフォークにて収録、CHANDOS輸入盤)。カナダ出身のピアニスト、ルイ・ロルティとエレーナ・メルシェは初めて聴く名前のピアニストだ。ルイ・ロルティは1984年のブゾーニ国際コンクールで優勝して以来、国際的に知られるようになったピアニストで、CHANDOSレーベルで多数レコーディングを行っている。こちらはアルゲリッチ&フレイレ盤と違い、夫婦と思われるペアで、ジャケット(下の画像)から二人の仲睦まじさが感じられる点からも好対照だ(^^)

収録曲は以下の5曲。
①マ・メール・ロア
②スペイン狂詩曲
③序奏とアレグロ
④ボレロ
⑤ラ・ヴァルス

アルゲリッチ&フレイレ盤と共通しているのは「ラ・ヴァルス」が収録されている点。1台4手の「スペイン狂詩曲」は以前、上記のピアノデュオのコンサートで初めて聴いていて、改めて聴けて嬉しい。個人的に気に入ったのは①マ・メール・ロア。特に「妖精の園」の幻想的な情景は
美しさが際立っている。④ボレロのような情熱的な曲もあるが、全体的に丁寧且つ繊細な演奏だ。
収録が先日エントリーしたアレクセイ・スルタノフの収録会場と同様のザ・モールティングスという事もあって、残響がほどよくブレンドされた録音も素晴らしい。

ピアノデュオのCDはまだ開拓し始めたばかり。コンサートがきっかけとなってまた一つ新たな世界が見えてきたのが嬉しい。