CDと並んで自分の音楽ライフに欠かせない生の演奏。ブログ開設一周年記念として、2007年のコンサート&ライヴも総括してみたい。CDで取り上げるジャンル同様、生演奏でもクラシックからジャズまで、幅広く聴く事ができた。視覚と聴覚でアーティストの演奏を聴くことはDVDで可能な時代になってきたが、同じ空間の中でその日一回限りの演奏をプレイヤーと聴衆で共有できるのは、やはり生ならではの醍醐味だ。
今宵は'07年に印象に残ったベスト19の演奏会を自分なりに振り返ってみたい。
<オーケストラ>
あまり数は多くはないが、オーケストラのフルサウンドを満喫できたコンサートを二つ。
一つ目は下野竜也&読売日本交響楽団のR.シュトラウスの「アルプス交響曲」。100名を超えるフル編成と、そこから生み出される広大なダイナミックレンジのサウンド。オーディオ・チェックとしても使われるこの曲を生で聴けたのは貴重だった。「熱狂の日」同様、手軽な料金で聴きに行けるシステムも高ポイント。
二つ目は'07年に唯一聴いた海外オケ、フランス国立リヨン管弦楽団。期待の俊英、準・メルクルがフレンチシェフ流の棒さばきで描いた「展覧会の絵」の終曲、「キエフの大門」はやはり圧巻だった。アンコールのドビュッシーのオケ版「月の光」の対照的な静けさもコンサートを締めくくるに相応しい、まさにフレンチ流なデザートだった。
<ピアノ>
まずは何といってもあこがれのペーター・レーゼルの来日公演を聴けた事だろう。生のレーゼルはこれまでCDを聴いて自分なりに持っていたイメージそのままの人だった。まさしく、ドイツ音楽の伝統を受け継ぐ正統派の巨匠。是非次回の来日も期待したい。
その他、12月に聴いた巨匠イェルク・デームスのバッハや注目度No.1の若手、清塚信也氏のショパン、ベートーヴェンも印象に残る演奏会だった。
一方、デュオではブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」やルストワフスキの「パガニーニの主題による変奏曲」で感動的な名演を聴かせてくれた藤井隆史&白水芳枝の今後の活動にも注目したい。
<声楽>
「熱狂の日」での巨匠ミシェル・コルボのフォーレ「レクイエム」は昨年においてレーゼル、ジャーマン・ブラスと並ぶベスト3に入る感動のコンサートだった。今年の「熱狂の日」が早くも楽しみだ。
鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ「ミサ曲ロ短調」もバッハの敬虔な世界に浸る事の出来た名演だった。
一方、自分もお世話にお世話なった北村協一先生メモリアルコンサートは自分にとって一つの節目となるコンサートだった。
<ブラスその他>
吹奏楽からブラスアンサンブル、ブラスバンドまで・・・。自分が高校時代、吹奏楽部で夢中になっていたように、幅広く聴けて楽しめた一年だった。
トップバッターは何といってもジャーマン・ブラスの来日公演。CDやDVDでもその超絶テクニックに脱帽して聴いていたマティアス・ヘフスの豊かな音楽性と、メンバーのユニークなパフォーマンスに心から楽しめた一夜だった。
アマチュアの世界においてはコンクールの常連バンドとしてもお馴染みの横浜ブラスオルケスターやNEC玉川吹奏楽団が予想通り非常にレベルの高い演奏を聴かせてくれた。
学生も負けてはいない。洗足学園&昭和音大合同でのド迫力「スター・ウォーズ」も印象的だった。
初の定期演奏会となったアートフリーダム・ブラスバンドは本場ブリティッシュスタイルでの編成で英国で聴いたブラスバンドをまさに彷彿とさせてくれる演奏だった。
いずれも、吹奏楽をはじめとするブラス人口が自分の時代と変わらず盛況だったのは嬉しかった。
一方、クラリネット界の巨匠、元ベルリン・フィルのカール・ライスターの生演奏を聴けたのも貴重だった。
<ジャズ>
まずは敬愛する和泉宏隆ピアノ・トリオのCD発売記念ライヴがトップにくるだろう。和泉氏の親友、鳥山雄司氏が夕映えの六本木ヒルズで開催したフリーライヴも実に良かった。
和泉氏の作風にも大きな影響を与えたラーシュ・ヤンソンの来日公演は北欧ジャズに浸るひと時となった。彼のユニークな人間性を垣間見れるのもライヴならでは(^^)
日本を代表するジャズ・トランペッター、日野皓正クインテットのライヴも若手ドラマーとの共演で盛り上がった熱い一夜だった。