「熱狂の日」でのコルボの「レクイエム」の影響でGW中はすっかりフォーレの作品にはまっていた。改めて生演奏の影響力の大きさを実感、そんなフォーレ作品よりイギリスを代表する聖歌隊の一つ、ウェストミンスター大聖堂聖歌隊による「レクイエム」の演奏を('87年12月及び'88年2月録音、セント・ジュード教会及びウェストミンスター大聖堂にて収録、IMPレーベル、輸入盤)。
合唱のウェストミンスター大聖堂聖歌隊は国教会が中心のイギリスの中にあってカトリックの聖歌隊。チェンバリストであるジョージ・マルコムの在任中(1947~59)に一気に名声を高めた。
その聖歌隊を録音当時若干30歳という若さの指揮者のデイヴィッド・ヒルが指揮をしている。彼はケンブリッジの名門セント・ジョンズ・カレッジ聖歌隊で長年教会音楽の大家として君臨したジョージ・ゲストに師事をした俊英。ハイペリオンレーベルでも数々のアルバムをリリースしている。ちょうど10年前の'97年、ロンドンでのホームステイの際にこの大聖堂に行った時の感動もよく覚えている。
「ピエ・イエズ」では、もちろん、ボーイソプラノによる独唱。作曲当初、パートに指定があったのかは分からない。ちなみにミシェル・コルボもエラート盤ではボーイ・ソプラノを起用しているが、最新盤ではソプラノを起用しており、長年の演奏の中で考証した結果であろう変遷を辿っている。
ここではさすがに少年の声だけに若干不安定気味な音はあるものの、そこはみずみずしさで見事にカバーをしている。
もう一つお気に入りの「アニュス・ディ」ではストリングスも清らかにゆったりと寄り添い、実に美しい歌になっている。演奏はシティ・オブ・ロンドン・シンフォニア。メジャーレーベルではあまりあまり馴染みはないが、このIMPレーベルではよく録音に参加している'71年発足の団体。名前からすると東京都交響楽団と同様、都(市)のオケだろうか。この2曲だけでもフォーレの魅力にはまってしまう。
更にこの盤では「タントゥム・エルゴ」「小ミサ曲」「恵み深きマリア」という3曲の小品も収められている。おそらく普段は中々演奏される事がないと思われるだけに、貴重な録音だ。本来は女声中心の編成となっているようだが、ここでもボーイソプラノを中心としたソロパートが多くあり、聖歌隊の魅力を堪能できる演奏となっている。
話は元に戻るが、フォーレの「レクイエム」は1885年、彼が40歳のとき父親を亡くし、その翌年に作られた追悼の曲だという。そんな曲の背景も知り、「熱狂の日」のおかげでフォーレ作品と少し親しくなれたような気がした。
《参照マイブログ》
○教会音楽:合唱盤
大聖堂に響く癒しの歌声~セントポール大聖堂聖歌隊のベストアルバム~
○教会音楽:ブラスバンド盤
心に残る賛美歌の旋律~ブラックダイク・バンドの「Share My Yoke」~
○ジョージ・マルコム関連:
通勤電車のケータイ音楽に思うこと~ウィリアム・ベネットのフルート・ソナタ~