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吹奏楽ファンにはたまらないアルバム(タイトル名「スパーク!スパーク!!スパーク!!!」)が発売された。今や、ブラスバンド界のみならず、 吹奏楽界になくてはならない存在となった英国作曲家の巨匠、フィリップ・スパーク(b.1951)。彼自身がタクトをとり、日本を代表するウィンドバンドの一つ、シエナ・ウィンド・オーケストラと共演したライヴ音源であることが最大の特長。スパークの初期から近年に到る代表曲が本アルバムにぎゅっと凝縮されているのも嬉しい。
収録曲は以下の通り。

①陽はまた昇る
②オリエント急行
③エンジェルズ・ゲートの日の出
④ウィークエンド・イン・ニューヨーク
⑤メリーゴーランド
⑥宇宙の音楽
⑦サンダーバード(バリー・グレイ/編曲:フィリップ・スパーク)
⑧《ダイアモンド・コンチェルト》ユーフォニアム協奏曲 第3番
 1. 第1楽章 アース・スター
 2. 第2楽章 オーシャン・ドリーム
 3. 第3楽章 ブルー・ハート
⑨パントマイム[抜粋版] ※アンコール演奏

ユーフォニアム・ソロ:外囿祥一郎
フィリップ・スパーク指揮 シエナ・ウインド・オーケストラ
(2014年1月11日録音、文京シビックホールにて収録、エイベックス国内盤)


オープニングは東日本大震災の追悼曲として日本に捧げられ、かつて本ブログでもエントリーした「陽はまた昇る」(2011年作)。既に何種類もの音源が存在するが、作曲家自身のタクトという意味で、ある意味真打ち的な音源。実際、心が浄化され、改めて敬虔な気持ちにさせてくれる演奏で、作曲家自身のメッセージが聴こえてくるようでもある。一方、「オリエント急行」(1986年作)は、列車のどこかコミカルな描写とリズミカルなテンポ感が心を躍らせてくれて実に楽しいく、初期の代表的作品であった事を思い起こさせてくれる。初期といえば個人的には「ジュビリー序曲」(1983年作)等も聴きたかったところ。シエナのメンバーもスパーク作品には学生時代から親しんでいたことだろう、スパークへの敬意を見事な熱演で応えている。

個人的な収穫は「ダイアモンド・コンチェルト」。第3楽章のジャジーな且つユーフォニウム独奏による超絶技巧な展開が聴きもので、これまでのスパーク節とはまた異なる新たな一面を垣間見させてくれた。また、スパーク編曲の「サンダーバード」も聴きどころ。個人的にはオケ版だけでなく、吹奏楽版が存在していたことに驚きだった。自身、サンダーバードのファンで、司会を務める「題名のない音楽会」の番組内でも、以前、BBCフィルとサンダーバードのテーマを披露したことのあるシエナの首席指揮者である佐渡裕氏もさぞかし喜んだに違いない。
願わくば、彼らによるアルバム第2弾も是非期待したいものだ。