何ともなく知っていただけの歌がある時、大きな感動と共感をもってかけがえのない歌になる瞬間がある。自分にとってその瞬間は昨日23:30からフジテレビで放映された番組「「OUR MUSIC」に出演した秋川雅史氏の歌だった。大晦日の紅白歌合戦で「とても印象に残った歌がある」と正月に父親に見せられたVTRがその歌だった。「千の風になって」。録画状態が良くなくよくなく、音ははっきりと聴き取れなかったが、テノール歌手の秋川氏が悠々と歌い上げるその姿だけは印象に残った。「いつかこの歌のメロディーをバイオリンでも奏でてみたい」。バイオリンを習っている父親にとって、よっぽど心を打ったのだろう。
その後、CDショップで、この歌のCDがクラシックコーナーに並べられているのを発見、すぐさま父親に連絡。購入したものの、そのCDは訳詩者で作曲をした小説家でもある新井満氏による歌のものだった。そう、この歌は既に3年程前に作曲者本人によって歌われていたのだ。
どちらかといえばフォークソング調のオリジナル曲をテノールで見事にクラシック風に歌いあげたのが、秋川氏。自身、その詩に共感したそうだが、結果として大ヒットとなり、オリジナル曲を見事にリバイバルさせた。
メロディーは誰にも親しみやすいシンプルなもの。そこにと秋川氏の声が加わると途端に一つの生きた歌となる。詩への共感は身近な人の死がテーマになっているからだろう。元は20世紀前半に英語で作られた名もなき詩で、NYの同時多発テロ後の追悼式でも読まれたという。その詩を新井氏が日本語訳に試み、曲をつけたというのが経緯だ。
身近な人の死・・・それは親族であったり、友人であったりと様々だ。受け手によってその大事な人の死を悼む時、この歌がすっと心に入ってくる。それが世代を超えた共感を得たのだろう。
秋川氏は67年生まれ。愛媛県出身で国立音大を卒業後、イタリアに留学したという。今年40歳。
実は意外な縁がある。自分も自分の母親も愛媛県の生まれ。しかも母親は秋川氏と同じ母校の出身。それだけではない。その愛媛にいる自分の従妹が通っていた高校の音楽の先生は、秋川氏の父親(音楽教師)だという。今でも従妹が働くレストランに父親がたまに来店するらしい。意外な接点。世界は小さいものだ(^^)
また余談を。自分も大学時代は合唱団に所属していた者として、現在、この歌をマスターできるように発声練習中(^^;先日の阪神大震災の追悼式ではこの曲がトランペットで演奏されたが、吹奏楽で吹いていた者として、トランペットでの演奏も是非マスターできるようになりたい。ああ、欲張りすぎかな・・・(^^;
最後にその日本語詩を紹介して終わりたい。
「千の風になって」
私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています
秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る
私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています
あの大きな空を
吹きわたっています