後半のGWは正月以来、久々に実家に帰省。「熱狂の日」初日公演の翌日だっただけに、興奮も冷めやらなかった(?)のか、東京国際フォーラムの会場内で購入した限定ライブCDを帰省への移動中、聴いていた。久々に長らく使用していなかったBOSEのノイズ・キャンセリングヘッドフォン、クワイエット・コンフォート(初代モデル)が活躍。車内騒音のストレスが軽減され、快音で耳が満たされた。
このCDは'06年1月31日~2月4日にフランスのナントで先行して開催された「民族のハーモニー」のライブ録音。全体的に会場の熱気までも感じられる演奏だ。この中で印象に残った演奏を取り上げてみたい。
その1曲目はビゼーの「子供の遊び」。ここでは「即興曲」と「ギャロップ」が収められている。2曲でわずか2分半位の短い曲だが、特に「ギャロップ」は楽しさの極み。曲が終わって間髪入れずに「ブラヴォー!」の熱狂的な拍手が収録されている理由も分かるような気がする。改めてビゼー作品の魅力を感じた。演奏はフランソワ=グザヴィエ・ロス指揮のレ・シエクル。名前からするとフランスの楽団のようだが、自分にとっては初めて知る団体。今回の日本公演でも同曲が彼らによって演奏されていたようだ。実際に自分の耳で聴いてみたかった。
その2曲目はこのライブ盤のラストに収録されているラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」より終楽章のフィナーレ部(アラ・ブレーヴェ)。ピアノは日本でもラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」でソロを務めたボリス・ベレゾフスキーとドミトリー・リス指揮 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団による組み合わせ。ボリス・ベレゾフスキーといえば自分が高校生だった頃に開催されたチャイコフスキー・コンクールで(今から15年近く前だったっけ?)、諏訪内晶子がヴァイオリン部門で1位となった時のピアノ部門1位の覇者、という鮮烈な印象が未だに残っている。その後、デニス・マツエフ、上原彩子と1位が続いたのは記憶に新しい。そんなベレゾフスキーが、この音楽祭の期間中、毎日演奏していたとは!
この曲は何回聴いてもやはり素晴らしい名曲だ。特にクライマックスのピアノとストリングスの旋律は何度聴いても鳥肌が立ってくる感動を感じてしまう。
「熱狂の日」初日公演でもベレゾフスキーのラフマニノフに感動した人が多かったのだろうか(公式HPによれば、この初日公演が今回の音楽祭で先陣を切ってチケットが売り切れた公演だという、)、会場前のオーロラビジョンに写し出されたナントでのベレゾフスキーの2番のライブ映像の模様に見入っている人が多かった。
自分と職場の上司はそのオーロラビジョンに隣接しているビアガーデンへ・・・。ラフマニノフを聴きながらビール・・・なんて贅沢なBGMだろう!、と思いながらも初夏の陽気も手伝い、実に心地よい一杯となった。こんな光景がいつの日か日常の中で体験できるような場ができる事を望みたい。
このライブCDでは日本人も健闘、フルートの工藤重典氏が、ビゼーの歌劇「カルメン」より「間奏曲」を、ピアノの児玉 桃氏がドボルザークの「ピアノ5重奏曲」で参加しており、熱い演奏を繰り広げている。
何より、今回のテーマである「民族のハーモニー」の聴き所が16曲に渡って収録されており、コンピレーションアルバム的な感覚で気軽に聴けるのが有難かった。
ナントでの本場、ラ・フォル・ジュルネの様子がよく伝わってきて心地よい移動のひと時を過ごす事が出来た。
《参照マイブログ》
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
「ラフマニノフとサン=サーンスの共通点~ベラ・ダヴィドヴィッチのピアノコンチェルト」~