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昨日でようやく仕事納め。今月聴いたコンサートをゆっくりと振り返れるようになった。昨日のイェルク・デームスに引き続き、今宵は今日本で注目度NO1のピアニスト、清塚信也氏を。彼のコンサートを日曜の昼下がりの晴天の寒空の中、聴いてきた。清塚氏は昨年のヒットドラマ「のだめカンタービレ」での千秋真一の吹き替えや映画「神童」では自ら出演する等、コンサートも含め今最も多忙なピアニストかもしれない。25歳とは思えない落ち着き振りとは裏腹に、エネルギッシュな演奏を聴かせてくくれた。
当日のプログラムは以下の通り。

①バッハ:イギリス組曲第3番
②ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調作品57「熱情」
③ショパン: 夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9-2
④夜想曲 第20番 嬰ハ短調 《遺作》
⑤練習曲 イ短調 作品25-11「木枯らし」
⑥練習曲 嬰ハ短調 作品25-7
⑦バラード 第1番 ト短調 作品23
⑧スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 作品39
⑨舟歌 嬰へ長調 作品60
⑩フォルトゥーナ
~アンコール~


作曲家の時代変遷順に演奏。オープニングに自作曲をインプロヴィゼーション風に弾きながら①につなげたり、エンディングも自作曲でくくるあたり、作曲家清塚信也をのぞかせる一面も。彼らしい演出だし、この自作曲がまるでドラマや映画でお馴染みの千住明氏や岩代太郎氏のようなドラマティックな作風で、また素晴らしい。コンサートで自作を披露するピアニストといえば、ファジル・サイやフリードリヒ・グルダをまず思い出す(^^)

②は彼の演奏を聴いて改めて好きになった曲だ。25歳の若手ピアニストが挑む「熱情」。相当弾き込んできたのだろう、テクニックは言うに及ばず、間の取り方が巧い。まるで指揮をしているかのようにフレーズ毎ににたっぷり息を吸わせ、旋律を歌わせる事で、ピアノもいい音で鳴っている。何より作曲当時のベートーヴェンの「想い」を現代に見事に蘇らせているのが素晴らしい。巨匠ペーター・レーゼルの名演とはまた違った意味で、この曲の魅力を彼の演奏から教わったような気がする。
③~⑨のショパンになってからは益々彼の真骨頂発揮だ。'00年に第1回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAでの1位受賞や'05年には日本ショパン協会主催ショパンピアノコンクール第1位受賞など、ショパン演奏で高い評価を受けてきただけに、演奏にも余裕が感じられる。⑧の超絶技巧ぶりといったら!

曲間のMCも彼ならではのキャラクターが出ており、エンターティナーぶりも発揮。アンコールでは季節柄「きよしこの夜」の旋律が奏でられたと思ったら何とジャズアレンジで演奏!その「きよしこの夜」で終わると思ったら、そのまま旋律がラフマニノフのピアノ協奏曲第2番終楽章のコーダへ突入!!熱心に聴きいっていた約650名の聴衆が惜しみない拍手を送っていたのが印象的だった。

終演後、ロビーで②~⑨までが収録されたニューアルバム「熱情」のCD('07年8月ヤマハにて収録、ワーナーミュージック・ジャパン国内盤)をサイン入りで購入する(^^)これからどんな演奏家に育っていくか楽しみなピアニストだ。