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以前、東京ディズニーランドの夜の風物詩として人気の「エレクトリカルパレード」をエントリーしたが、今回は第2弾として、「ディズニーメドレー」を。ディズニーには数多くの名曲を抜粋して一つの曲につなげたメドレー形式の音楽が多く、編曲家によって様々なメドレーが存在する。オリジナルの曲の素材を活かしながら、演奏形態に合わせて一つのメドレーに仕上げるのだから、まさに編曲の妙といえるだろう。今回は室内楽、ブラス、オーケストラによるものまで、様々な演奏形態のディズニーメドレーを8つの音源で聴き比べしてみた。自分自身が高校時代に演奏した、思い出の「ディズニーメドレー」も(^^)(ジャケット画像:左上より時計回り)

【ブラス・アンサンブル版】
■「ディズニー・メドレー」(編曲:横谷 基)
ザ・ブラス
(1992年4月録音、府中の森 芸術劇場ウィーンホールにて収録、ビクター国内盤)
メドレー計5曲(星に願いを~小さな世界~いつか王子様が~ミッキーマウスマーチ~ハイホー)


以前、「トランペット吹きの休日」でもエントリーしたザ・ブラスによるもの。「ミッキーマウスマーチ」が中心部に据えられ、金管楽器の特性が活かされたメドレー構成となっている。途中、フランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」のフレーズが聴こえてくるのも粋なアレンジだ。冒頭の「星に願い」では、トロンボーン・ソロに若干物足りなさが残るが、全体としては気心の知れた仲間達による楽しさが伝わってくる。

【英国式金管バンド版】
■「ディズニー・ファンタジー」(編曲:ゴフ・リチャーズ)
時任康文指揮 ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウ
(2000年4月録音、彩の国さいたま芸術劇場にて収録、BRAIN MUSIC国内盤)
メドレー計7曲(ジッパ・ディー・ドゥー・ダー~星に願いを~狼なんかこわくない~不思議の国のアリス~ザ・ベア・ネセシティー~君のようになりたい~スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス)


ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウは日本発の英国式金管バンド。金管バンドは吹奏楽と同様、アレンジの素晴らしい曲が多いが、この曲もそんな一曲で、英国の人気作曲家、ゴフ・リチャーズによるもの。途中、「君のようになりたい」から舞台はジャングルに一転。ぐいぐいと引き込まれる。ディズニーの世界をうまく表現した名アレンジ。

【吹奏楽版】
■「ディズニー・メドレー」(編曲:岩井直溥)
岩井直溥指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ
(1997年5月録音、東芝EMI国内盤)
メドレー計7曲(ミッキーマウスマーチ~小さな世界~ハイ・ホー~狼なんかこわくない~いつか王子様が~口笛吹いて働こう~星に願いを)


これまでも何度かエントリーしたニュー・サウンズ・イン・ブラスのベスト盤の中の収録曲。ブラス界の名アレンジャー、岩井直溥氏による編曲で、これぞメドレー、といえるお手本的なアレンジに仕上がっている。豪華ゲスト陣によるソロも嬉しい。

■「ディズニー・アット・ザ・ムービー」(編曲:John Higgins)
メドレー計14曲(南部の唄、シンデレラ、メリー・ポピンズ、ジャングルブック、リトルマーメイド、美女と野獣、アラジン、ライオン・キング、ポカホンタスより)
■「ディズニー・ブロックバスターズ」(編曲:John Higgins)
メドレー計4曲(アンダー・ザ・シー~美女と野獣~フレンド・ライク・ミー~ホール・ニュー・ワールド)
■「ディズニー・アット・ジ・オスカー」(編曲:John Moss)
メドレー計5曲(ジッパ・ディ・ドゥ・ダー~チム・チム・チェリー~星に願いを~ザ・ベア・ネセシティー~、アンダー・ザ・シー)
■「ディズニー・マーチ・スペクタキュラー」(編曲:Ted Ricketts)
メドレー計6曲(ミッキー・マウスマーチ~コロネル ハシス マーチ~小さな世界~ステップ・イン・タイム~スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス~ジッパ・ディ・ドゥ・ダー)
若林義人指揮 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部
(2010年5月録音、龍谷大学青朋館にて収録、ウィンズスコア国内盤)


全日本吹奏楽コンクールでも御馴染みの名門校、龍谷大学の吹奏楽部によるもので上記4つのメドレーはアルバム「Disney at the Movies」に収録。曲名からも窺える様に、まさにメドレーの宝庫といえる曲で、アレンジはもちろん、演奏もそつなくこなしている。しかしながらセッション録音ゆえだろうか、ディズニーのノリがいま一つ感じてこないのが惜しい。学生ならではの白熱したライヴ演奏で聴いてみたい所だ。

【オーケストラ版】
■「シンフォニック・パレード」(編曲:宮川彬良)
宮川彬良指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
(2000年7月録音、シンフォニーホールにて収録、国内盤)
メドレー計8曲(ジッパ・ディ・ドゥ・ダー~口笛吹いて精出して~ミッキーマウスマーチ~ハイ・ディドゥル・ディー・ディー~リーダーにつづけ~ビビディ・バビディ・ブー~楽しい休日~小さな世界)


以前、大阪市音楽団との共演アルバムでもエントリーした「マツケンサンバⅡ」で一躍その名を知られた宮川彬良氏のアレンジによるもの。“パレード”だけあって、全体的にブラスをフィーチャーさせており、一聴した所では、吹奏楽?と勘違いしてしまうほど、華やかなアレンジに仕上がっている。大阪フィルも、ボストン・ポップス顔負けのノリで応えている。個人的には「小さな世界」がメドレーの後半部に据えられた構成も良い。アレンジ、演奏共に、マイベスト盤の一つ。

■「ディズニータイム・セレクション」(編曲:ロン・グッドウィン)
ロン・グッドウィン指揮 ボーンマス交響楽団
(1992年4月録音、Wessex Hall、Poole、Dorsetにて収録、CHANDOS海外盤)
メドレー計5曲(ジッパ・ディ・ドゥ・ダー~いつか王子様が~ 君のようになりたい ~4月の雨 ~星に願いを)


映画音楽を中心に活躍した英国の作曲家、ロン・グッドウィンによる編曲。「風と共に去りぬ」のようにストリングスをたっぷりと鳴らした絢爛豪華なアレンジで、ブラスを効かせた宮川彬良氏とのオケ・アレンジの対比が面白い。メドレーの1曲目が、宮川彬良氏・英国金管バンド版と同じ「ジッパ・ディ・ドゥ・ダー」なのも興味深い所。勢いのある曲調がメドレーのオープニングにマッチしているのだろう。英国金管バンド版で収録されていた「君のようになりたい」がこのメドレーでも収録されているが、双方のアレンジの違いに耳を傾けるのも面白い。

【室内楽版】
■「ウォルト・ディズニー・メドレー」(編曲:バラッサ)
イ・サロニスティ
(1988年9月録音、BLUMENSTEIN CHURCH、スイスにて収録、DECA国内盤)
メドレー計6曲(狼なんかこわくない~いつか王子様が~口笛吹いて精出して~ハイホー~ほほえみと歌と~星に願いを)


イ・サロニスティは、ヴァイオリン×2、チェロ×1、コントラバス×1、ピアノ×1から成る5人の室内楽集団。第1ヴァイオリンはスイスの名門、カメラータ・ベルンの常任指揮者でもあるトーマス・フューリが務めている。少人数ならではの息の合ったフレッシュな演奏は、まさに室内楽の醍醐味といえるだろう。

【おまけ】
■「ディズニー・メドレーⅡ」(編曲:佐橋俊彦)
飯倉健人指揮 都立西高吹奏楽部
(1990年9月録音、非売品)
メドレー計6曲(ジッパ・ディー・ドゥー・ダー~スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス~チム・チム・チェリー~ビビディ・バビディ・ブー~ふしぎの国のアリス~きみも飛べるよ)


今から20年近く前、高校の文化祭で演奏した思い出の音源。アルバム「ニュー・サウンズ・イン・ブラス1989」に収録されたディズニーメドレーの第2弾で、個人的には自分自身が演奏に参加したという経験を差し引いても「Ⅱ」の方がお気に入り。当時、「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」の長いタイトルが中々言えなかった(覚えられなかった)のも、今となっては良い思い出だ。カセットテープ仕様なのが懐かしい。