英国編に引き続き、キングズ・シンガーズのクラシック、ジャズのレパートリーを。時節柄、ぴったりなクリスマスアルバムも彼らにとっては得意分野。録音順に5枚のアルバムをエントリーしてみたい。(ジャケット画像:左上より時計回り)
○「ア・ラ・フランセーズ」
(1986年5月録音、クイーンズ・ホール、エジンバラにて収録、EMI海外盤))
まずはクラシック盤から。このアルバムは、サン・サーンスの名曲、「動物の謝肉祭」の原曲を損なわない形で、歌詞を添えた編曲に仕上げたレアもの。アレンジは、ここでスコティッシュ室内管弦楽団を指揮するカール・デイヴィスが監修している。また、「ピアニスト」には、名手ハワード・シェリーも参加している。
○「アメリカ」
(1988年録音、アビー・ロード・スタジオ、ロンドンにて収録、EMI海外盤)
聴き所のナンバーは、自分にとって中学時代、レイモン・ルフェーヴル・グランド・オーケストラの演奏で知ったサイモン&ガーファンクルの名曲「明日に架ける橋」だろう。オケ&コーラスでスケール感がよりアップしているのが何ともゴージャスだ。アルバム「ア・ラ・フランセーズ」で共演した指揮者のカール・デイヴィスが、ここではイギリス室内管弦楽団を振っている。共演ゲストも一流で、ピアノのハワード・シェリーや、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの元メンバーであるトランペットのマイケル・レアードが参加しているのにも注目だ。
○「ア・リトル・クリスマス・ミュージック」
(1989年、アビー・ロード・スタジオ、ロンドンにて収録、EMI海外盤)
合唱界でも著名な指揮者のリチャード・ヒコックスと彼が手塩にかけたシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアとの共演盤。ソプラノのキリ・テ・カナワがゲストで参加。
クリスマス以外のシーズンでも聴けるコープランドの「シンプル・ギフト」(「アパラチアの春」より)や、ビゼーの「アルルの女」の「ファランドール」(「アルルの女」より)に、彼らなりのオリジナルアレンジが施されており楽しめる。ジャケットの雰囲気も含め、何とも豪華なクリスマスアルバムだ。
○「バードランドの子守歌」
(1990年6月録音、アビー・ロード・スタジオ、ロンドンにて収録、EMI海外盤))
ジャズ・ピアノ界の巨匠、ジョージ・シアリング(b.1919)とのコラボ・アルバム。ベスト盤にも収録されていたガーシュウィンの「アイ・ガッド・リズム 」、ハロルド・アーレンの「虹の彼方に」、ジョージ・シアリングの「バードランドの子守唄」を始め、ガーシュウィンとアーレンの一連の代表作が聴けるのが嬉しい。なお、この年からカウンター・テナーにデイヴィッド・ハーリが加入。ジャズ・コーラスの美しさにも、つい聴き惚れてしまう。
○「クリスマス」
(2003年5月録音、St. Michael's Church, Highgateにて収録、signum海外盤)
今回所有する中での最新盤。レーベルもRCAから新たなレーベルに移籍している。嬉しいのは、スタジオではなく、教会での収録である点。これにより、先日の来日公演がオンエアされた石橋メモリアルホールと同様、アコースティック空間ならではの臨場感を味わえる。山下達郎も一人ア・カペラでカバーしたバッハの「O little one sweet」や、定番の「サイレント・ナイト」等、まさに聖なる夜に浸るにはぴったり。