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コロナ禍を受けて音楽業界でも新たな日常が模索される中、自分が敬愛する二人のアーティストにも新たな動きがあった。一人目は山下達郎氏。昨年は全国ツアー「PERFORMANCE 2019」でファンを楽しませてくれたが、今年はオリンピックイヤーを考慮し、全国ツアーの計画こそなかったものの、7月30日に「TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING」(タイトル画面:画像上)と名打ったストリーミング配信が一日限定で実施された。アーカイブなしのその場限りのストリーミングとしたことや、音質・映像を追求した配信会社を通じた配信を行ったことに、彼なりのこだわりを感じた。配信されたコンテンツは、2018年に実施された京都のライヴハウス「拾得(じっとく)」での山下達郎氏、難波弘之氏、伊藤広規氏の3名でのアコースティック・ライヴ映像と、千葉・袖ヶ浦海浜公園での2017年の氣志團のライヴ(氣志團万博)に出演したライヴ映像の2本柱。4500円での有料配信だったが、これまで全国ツアーでしか達郎に接することのなかった自分にとっては充分に満足・納得のいくものだった。特に気志團万博でのライブは、「ハイティーン・ブギ」に代表される彼のジャニーズ提供曲の熱唱に加え、後半では竹内まりやもバックコーラスで出演しており、雨の降りしきる中でありながら、大いに盛り上がったパフォーマンスを配信を通じて追体験することができた。
なお、当初は約70分の配信時間がアナウンスされていたが、配信当日は1986年のライヴ映像のスペシャル映像が!彼のアカペラ曲の中でも大好きな「SO MUCH IN LOVE」と名曲「プラスティック・ラブ」を歌う当時33歳の貴重なパフォーマンス映像が観られたのは何よりだった。これまで、このような過去ライヴ映像は2012年に映画館で上映されたシアター・ライヴがあり、ストリーミングの世界には進出していなかった達郎だが、今回は音楽業界に大きな影響が出ていることを受けての本人なりの大きな決意があったに違いない。結果的には、1回限りとしたことで、まるでリアルタイムさながらのライヴ体験ができたし、PCと有線イヤホンでのシンプルな視聴スタイルでも、通常のCDやCS放送に匹敵する高音質・高画質で観れたことに感謝したい。

そしてもう一人は和泉宏隆氏。自分にとって11年2か月ぶりとなるソロピアノライヴを聴いたのが今年の2月1日だったが、その後、コロナ影響が全国に拡大するにつれ、スタジオライヴ公演が次々と延期に。個人的に残念だったのは、その2月に聴いた横浜のライヴハウス「HEY-JOE」が5月で閉店に追い込まれてしまったこと。そんな中、7月に入ってSNSで知ったのがYouTubeでの無料配信ライブだった。なんでも音響会社の倉庫に特設ステージを設置して実施されるという、その名も「倉庫de ライヴ」(タイトル画面:画像下)。8月8日の当日の配信では和泉氏はソロピアノでなく、「Another Conversation3」というグループ名でドラムの石川雅春氏、ベースの加藤祐一氏と共にキーボードで出演。約1時間の配信だったが、「オーメンズ・オブ・ラヴ」「Cape Light」「宝島」「遠雷」など彼が生み出した名曲を約半年にリアルタイムで聴くことができ、ライヴを堪能することができた。また、いつもながらにMCも楽しませてくれたが、その日の夜に、彼の公式YouTubeチャンネルが立ち上がるという発表は実に嬉しいニュースだった。

山下達郎氏は配信会社を使っての過去ライヴの有料配信、和泉宏隆氏はYouTubeを使ってのリアルタイムライヴの無料配信と、コンテンツの中身やアプローチはそれぞれ違うが、共通しているのはファンとつながる新しいツールの構築と、音楽業界が新しい日常にシフトし始めたこと。まだコロナの収束は見通せないが、これらの活動はこれから欠かせないものになると思うし、彼らの音楽を聴くことで癒しや活力の源泉を与えてくれるファンの一人として、今後益々応援していきたいと考える、そんな配信ライヴだった。

【こだクラ関連ブログ】
(山下達郎)
通算21年11回目!山下達郎「PERFORMANCE 2019」(8月16日 神奈川県民ホール)
(和泉宏隆)
感動!11年2ヶ月ぶりのライヴ鑑賞記~和泉宏隆ピアノ・ソロライヴ(2月1日 横浜Hey-JOE)