画像
春の訪れを感じるお勧めを、北欧フィンランドの作曲家、シベリウスの作品で…。サー・アレキサンダー・ギブソン指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による、「交響曲第2番」「カレリア組曲」「フィンランディア」が収録されたアルバム(1989年録音、Collins海外盤)を。まず選曲が抜群にいい。シベリウスの魅力をたっぷり味わう事が出来るアルバムだ。

まず交響曲第二番から。
この曲には思い出がある。中学生の時に友人宅にあったバーンスタイン指揮ウィーン・フィル盤を聴いた時の事、一聴してとても心に残る旋律が・・・。開始部早々、フルートとオーボエから奏でられる短いメロディーとそれに続くストリングスのすすり泣くような呼応・・・。繊細さとどこか儚さを感じさせるメロディーに、オケはパワーで押すのがかっこいいという、それまでのイメージとは違った印象を中学生ながらに受けたものだった。ただ、その感動が一楽章に留まってしまい、そこから先へと聴き込む事がなく、この曲全体を見通せずにいた。
実際通して聴いてみると3楽章から突き進む4楽章への流れは実にスペクタクルだ。例えて言うなれば北欧の空を舞う鳥になったような感じ。陰から陽へ、という流れがうまく曲にも表れ出ている。壮大なクライマックス。

「カレリア組曲」は終曲の「行進曲風に」がお気に入り。まさに北欧版「星条旗よ永遠なれ」という感じ。ストリングスの軽やかなメロディーでスタートするも、徐々に金管楽器のファンファーレが重厚感を帯びてくる。北欧の大地に朝日を告げるファンファーレが勇壮に鳴り響いてくる、というイメージだ。この行進曲を聴くとどこか勇気付けられるものがある。

「フィンランディア」は小学生の頃、カラヤン指揮のベルリン・フィル盤で楽しんだ懐かしの曲で、クラシックのポピュラー曲として上位にランクインする楽曲だ。こちらもトランペットが大活躍で、当時吹奏楽少年だった自分の心を躍らせた曲だった。実はこの曲、コラール部分が自国語で歌われており、合唱曲として男声合唱の世界では定番にもなっている。実際、大学時代に来日したヘルシンキ男声合唱団による合唱版「フィンランディア」の実演を聴いた事があり、郷愁への想いが感じられる心温まる演奏だった。

指揮のサー・アレクサンダー・ギブソン(1926-1995)は既に亡くなってしまったが、お気に入りの指揮者。イギリスのオケを中心に振っているが、このロイヤル・フィルとも実に相性のいい演奏を聴かせてくれる。

録音はCollinsレーベルによるもので、本ブログで既に3枚目の紹介になるが、隠れた名盤が多い。このアルバムは当時新星堂の取り扱いの元、廉価盤(ジャケット画像左、右は交響曲第2番とカレリア組曲が収録されたオリジナル盤)で発売されていたものだが、貴重なソースがたくさん埋もれているだけに、またどこかで復活させてほしいものだ。