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今や夏の風物詩となったミューザ川崎シンフォニーホールの「フェスタサマーミューザ」のN響公演を聴く。2009年にN響による吹奏楽プログラムを聴いたが、今回は「プリンセス・オン・クラシックス」がテーマ。プリンセスが絡む曲を配したプログラムだけに、選曲の妙といえる公演となった。ディズニーミュージックやドラゴンクエスト、ジョン・ウィリアムズといった聴く前からワクワクさせてくれる曲目が並ぶ。ディズニーランドやシーで聴くパレードも楽しいが、アコースティックならではのサウンドで聴けるのはまた格別。当日のプログラムは以下の通り(画像はプログラム変更前のもの)。

・ディズニー:ファンタズミック
・チャイコフスキー:「眠りの森の美女」からワルツ
・すぎやまこういち:ドラゴンクエストVから
 「序曲のマーチ」
 「王宮のトランペット」
 「愛の旋律」
 「戦火を交えて~不死身の敵に挑む」
 「結婚ワルツ」
・ディズニー:ファンティリュージョン
・ホール・ニュー・ワールド
・シルヴェスター・リーヴァイ:ミュージカル「エリザベート」から「私だけに」(Vo.新妻聖子)
・J.ウィリアムズ:雅の鐘
・ホルスト:惑星から「木星」

指揮:渡邊一正  NHK交響楽団
独唱:新妻聖子、津田英佑
司会:平井理央

個人的には日本のクラシックオケ界をリードするN響がいかにエンターテイメントに徹せられるかに注目していたが、指揮者の渡邊一正氏の巧みなタクトに導かれ、一曲目のディズニー・ファンタズミックから高いテンションとゴージャスなサウンドを奏でてくれた。
そしてもう一つの聴き所はドラゴンクエストⅤのプログラム。当初3曲の予定だったが、別の曲目(スーパーマリオブラザーズ)が都合により演奏されなかった為、「王宮のトランペット」を含めた計5曲となった。「王宮のトランペット」はのソロは首席の菊本和昭氏が担当。ドラクエのサントラといえば東京都交響楽団のサントラが知られているが、シリーズ初期はIからⅤまでのシリーズはN響が担当していた。(厳密にいうとⅠ&ⅡはN響メンバーが主体となっている東京弦楽合奏団、Ⅲ~Ⅴ番がN響)。ドラクエブームを作ったのはある意味N響のサントラだけに、日本を代表するゲーム音楽のスペシャリストとしてもっと前に出てもいいのでは、と改めて思った。

後半はメディアでもお馴染みの新妻聖子と津田英佑によるボーカル曲が演奏されたが、マイクのPAに影響も受けてか、声が響き過ぎて今一つ魅力が伝わらなかったのが残念。
J.ウィリアムズの一方、「雅の鐘」は普段あまり演奏される曲ではない選曲だけに新鮮だった。ホルストの「木星」はやはりオーケストレーションの冴えたスペクタクルな名曲だと思った。
なお、ナビゲーターは元フジテレビの人気アナの平井理央が担当。こちらもPAの影響だろうが、MCが反響しすぎて聞こえづらかった。MC自体も台本通りに終始していた感があり、無難すぎて面白みがなかった。

アンコールは1部メインの「結婚ワルツ」にちなんで、名曲、メンデルスゾーンの真夏の夜の夢より「結婚行進曲」で締めくくられ、プリンセス・オン・クラシックの名に相応しいコンサートだった。