激動の2011年が終わろうとしている。来年こそは、平和な一年である事を望みたいものだ。2011年の締めくくりに、毎年クリスマスシーズンに楽しみにしている山下達郎ファンクラブ特典CDについて触れないわけにはいかない。今年は、1978年に発売されたアルバム「GO AHEAD!」に収録されていた名バラード、「潮騒」(THE WHISPERRIBG SEA)のライヴ音源。真冬のこの時期には涼しい曲だが、ここ数年は、クリスマスシーズンに限らず、オールシーズンを通して聴ける音源が増えたようだ。ライヴ音源というのがポイントで、ここ数年、ツアーが行われているおかげで、これらの音源が増えてきたのも背景としてあるのかもしれない。
「潮騒」はフェンダー・ローズの伴奏で開始されるが、ボーカルとの掛け合いが絶妙で、この曲の持つ切なさやはかなさがうまく引き出されている。
今回の音源は昨年のライヴツアー「PERFORMANCE2010」の仙台公演(於:東京エレクトロンホール宮城)でのもの。このホールは今回の東日本大震災で被災を受け、現在休館中だが、達郎としては復興への願いも込めて、この仙台公演での音源をチョイスした、というのは考え過ぎだろうか。
今年は8月にニューアルバム「Ray Of Hope」の発売や、11月からは新たなライヴツアー「PERFORMANCE2011-2012」がスタートし、達郎にとっても激動の一年だったに違いない。特に「希望という名の光」は、結果的に復興ソング的な意味合いにもなり、多くの人々に感動と勇気を与えてくれたと思う。また、本ファンクラブが20周年を迎え、FM「山下達郎サンデー・ソングブック」も番組開始20周年で放送1000回達成というアニバーサリーイヤーでもあった。
妻である竹内まりやの活動も見逃せない。今年は本人のシングルやアルバム発売こそなかったものの、11月23日に発売された松田聖子のニューシングルに「特別な恋人」を、また、同日発売された人気子役の芦田愛菜のデビューアルバムに「みんなのハッピーバースデイ」を提供しており、プロデュース業でヒットを飛ばした一年だった。特に「特別な恋人」は、その歌詞や曲調から、まりや版「ずっと一緒さ」的な位置付けの曲といえるかもしれない。
大震災を経て、ニューアルバム発売、ツアースタート、プロデュースと、新たな転換期を迎えたともいえる二人の、今後の活躍に益々目が離せない。