2016年4月26日放送の「題名のない音楽会」は「吹奏楽部を知る演奏会Ⅱ」と題された特集で、学園祭で愛奏される人気曲の第1位として、「宝島」がシエナ・ウインド・オーケストラの演奏と共に紹介された。ゲストの淀工吹奏楽部顧問の丸谷明夫氏は、その理由として「自分達のオンリーワンの演奏ができる曲」「自由がある中で自己主張して楽しめる曲」とコメント。原曲はフュージョンバンドのザ・スクェアの曲だが、吹奏楽での人気ぶりはアレンジャーの真島俊夫氏(本放送の5日前の4月21日に逝去された)の力によるところも大きいだろう。「宝島」は1986年にリリースされたザ・スクェアのアルバム「S・P・O・R・T・S」の収録曲で、当時のメンバーのでキーボーディストの和泉宏隆氏が作曲。和泉氏の作品の中でも、「オーメンズ・オブ・ラヴ」(1985年作)と共に人気の曲で、既に30年以上が経過した今でも、吹奏楽の世界で演奏し続けられていることに、和泉ファンである自分にとっても嬉しいニュースだった。今回は過去エントリーしたアルバムも含め、計4種類の「宝島」を改めてプレイリストで聴いてみたい。(ジャケット画像:左上から時計回り)
■東京佼成ウィンド・オーケストラによる吹奏楽版(ジャケット画像左上)
以前エントリーした「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」の発売25周年記念アルバム「ニュー・サウンズ・スペシャル」(1997年リリース)の収録曲(1997年3月録音、東芝EMI国内盤)。打楽器セクションによるサンバのリズムに導かれ、サックスの主旋律やソロ(ここではスクェアの伊東たけし氏自身が参加)に、中間部ではトランペットとトロンボーンセクションパートのスタンディングプレイが加わるという、パフォーマンスたっぷりなアレンジはまさに学園祭のレパートリーにぴったり。吹奏楽版への編曲はザ・スクェアのアルバムリリース翌年の1987年だが、今でも色褪せない気分爽快なアレンジだ。
■本家ザ・スクェアによる記念ライヴ盤(ジャケット画像右上)
2001年にリリースされたアルバム「MOMENT」(ヴィレッジレコード国内盤)に収録。和泉宏隆氏は1998年のスクェア退団前より、既にソロピアニストとしてのスタートもきっていたが、これは2000年9月に和泉氏も含めザ・スクエア時代のメンバーが2日間限定でライヴハウス「神戸チキンジョージ」の20周年を記念して集結した際の貴重なライブ盤。主旋律を奏でるのはメンバーの伊東たけし氏のウインドシンセ、中間部の鮮やかなピアノソロはもちろん和泉氏本人。曲が始まった瞬間、聴衆の待ってましたといわんばかりの拍手に、限定ライブならではの熱狂ぶりが伝わってくる。
■和泉宏隆氏自身による2種類のピアノトリオ版(スタジオ録音盤:ジャケット画像右下、ライヴ録音盤:ジャケット画像左下)
2枚とも、いずれも過去にエントリーしたもの(スタジオ録音版/ライヴ録音版)なので詳細はそちらに譲りたいが、スクェアを離れた和泉氏が、ジャズ・ピアニストとしてピアノトリオによって宝島の新境地を開いているのを感じる。ライブ盤は個々のメンバーがヒートアップしてきている様子が伝わってきて、実に熱い。これぞ、和泉ワールド!