絶好の秋晴れの下、母校の都立西高吹奏楽部のOBメンバーが出演するOB吹奏楽団の第30回の演奏会に行ってきた。自分自身、このOB吹奏楽団に一度きりではあるが、10年前の第20回の演奏会に出演した経験がある。社会人一年目の年だったから、歳月が過ぎるのも早いものだ。
今回は同期のメンバーが3名出演する事もあり、彼らの応援も兼ねて楽しみにしていた。現役時代からドラムの巧かったパーカッションのK君、11年ぶりに転勤で東京に戻っての出演となるI君、最近ピッコロを新調したHさんの3人とは、今春の同期会で会って以来だ。OB一年目の10代から、上は40代まで、様々な世代のメンバーが出演するのもOB楽団の魅力の一つ。
当日のプログラムは以下の通り。
(第1部)
1. 崖の上のポニョ(久石譲)
2. 吹奏楽のためのエア(F.エリクソン)
3. モニュメント(R.W.スミス)
4. 時の航海 ~シドニーの豊穣なる歴史を讃えて~(D.R.ギリングハム)
(第2部)
1. オリエント急行(P.スパーク)
2. 君の瞳に恋してる(B.クレア/B.ガウディ)
3. 星に願いを(L.ハーライン)
4. 吹奏楽のための交響曲「モンタージュ」(P.グレイアム)
(アンコール)
・インディー・ジョーンズのテーマ(J.ウィリアムズ)
・バンドロジー(E.オスタリング)
他
現役の吹奏楽部の持ち味である熱い演奏は、今回のOB楽団でも顕在!基本的に週末しか合奏ができない日々の少ない練習時間の中で、これだけ燃焼度の高い演奏ができる楽団は、そうはないように思う。
2名の指揮者は、いずれもOBのメンバーだが、統率の取れた指揮の元、メンバーは一糸乱れぬアンサンブルを繰り広げていた。テクニック的には至らない箇所もあるが、自分達の音楽を表現したくてたまらない、という自由な気風が西高OB吹奏楽団にはある。それは現役時代と変わらないカラーだ。
選曲にも趣向が凝らされており、楽しめた。最近の吹奏楽ブームの影響もあるのだろうか、ウィンド・バンドの作品の充実ぶりには目を見張るものがある。モニュメント(R.W.スミス)や時の航海 ~シドニーの豊穣なる歴史を讃えて~(D.R.ギリングハム)はその好例といっていいだろう。ウィンド・バンドの魅力が思う存分発揮していたように感じた。
また、オリエント急行(P.スパーク)や吹奏楽のための交響曲「モンタージュ」(P.グレイアム)のような、金管バンドに作曲された曲からの吹奏楽編曲版もいまや欠かせないジャンルになってきた。
新しく生まれ変わった残響豊かな杉並公会堂のおかげもあって、大変クリアな音で聴く事が出来た事も特筆しておきたい。日本フィルのフランチャイズ拠点にもなっている、このホールで演奏できる現役組が羨ましいものだ。
ポピュラー曲も西高OB吹奏楽団の得意ジャンル。オープニングに崖の上のポニョ(久石譲)を取り上げる演出や、君の瞳に恋してる(B.クレア/B.ガウディ)では、ノリノリのパーカッションが、一気にヒートアップ。思わず現役時代の定期演奏会のポピュラーステージにタイムスリップしたかのようだった(^^) 一方、アンコールのインディ・ジョーンズのテーマは、さすがにメインの後だけにトランペット・セクションはバテ気味でしたね(^^;
アンコールのラストに演奏された「バンドロジー」は現役時代、記念祭で演奏した十八番のアンコール曲だけに、感激もひとしお。この日来場の現役組も、OB組も、脈々と受け継がれているこの曲に、熱いものを感じたに違いない。第30回の記念にふさわしい、最高のプレゼントとなった。
終演後には、長い間ご無沙汰をしていた先輩の方々とも再会でき、懐かしさで一杯になった。帰り道、同期のW君とF先輩と一緒に、吹奏楽談義で盛り上がった。
思えば高校時代の年齢の倍の歳月が既に過ぎているわけで、今でも“吹奏楽=音楽”を通じてつながっている仲間達との絆の大きさをつくづく感じる一日となった。
西高吹奏楽部よ、永遠なれ!