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映画音楽は昔から好きなジャンルの一つ。ブログにも過去メータ&ロス・フィルの「スター・ウォーズ」ロンドン響の名盤をエントリーしたが、新たに先日、バーンスタインの「キャンディード序曲」「ウエスト・サイド・ストーリー」でエントリーしたばかりの指揮者カール・デイヴィスによる名盤がナクソスから登場した。「GREAT MOVIE THEMES」と題されたアルバムタイトル通り、人気映画のサントラ曲が収録された映画ファン必携モノのディスク。もともと映画畑出身のデイヴィスだけに、これは!と思い立って即購入。1000円というナクソスならではのお手頃価格も魅力だ!

○カール・デイヴィス指揮 
 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
 ('07年4月2・3日録音、フィルハーモニーホール、リヴァプールにて収録、
  ナクソス輸入盤)


収録曲は以下の通り。

①J. ウィリアムズ: 「レイダース」失われたアーク~メイン・テーマ
②J. バリー:「愛と哀しみの果て」~メイン・テーマ
③D. エルフマン:「スパイダーマン」~メイン・テーマ
④J. ウィリアムズ:「シンドラーのリスト」~メイン・テーマ
⑤ハンス・ジマーグラディエーター - メイン・テーマ
⑥C. デイヴィス:「チャンピオンズ」(抜粋)~チャンピオンのテーマ
⑦    〃                  ~Grand National
⑧H. ショア:「ロード・オブ・ザ・リング」~組曲「2つの塔」
⑨ヴァンゲリス:「炎のランナー」~メイン・テーマ
⑩M. ノーマン:「ジェームス・ボンド」のテーマ
⑪J. ホーナー :「タイタニック」~メイン・テーマ
⑫A. シルヴェストリ:「フォレスト・ガンプ」~メイン・テーマ
⑬J. バリー:「ダンス・ウィズ・ウルブス」~メイン・テーマ
⑭J. ウィリアムズ:「ハリー・ポッターと賢者の石」~ハリーの不思議な世界


まさにカール・デイヴィスの面目躍如たる演奏!①「レイダース」から抜群のテンポ感でオケを存分にドライブさせている。⑤「グラディエーター」はまさに映画さながらで、H.ジマーお得意のリズムがホルストの「火星」のような迫力で迫ってくる。一方、⑨「炎のランナー」や⑪「タイタニック」ではあの感動再びという感じで、一瞬ピアノ協奏曲?と思うほど、ピアノが印象的だ。全編を通じ、ピアノを効果的(おそらくオリジナルのサントラ以上に)に聴かせているのも特徴といえる。⑥⑦でカール・デイヴィス作曲の映画音楽が2曲収録されているのもこのアルバムならではの特徴だが、この2曲がまた他の曲に負けない映画音楽のテイストがあり、カール・デイヴィス自身が一流の作曲家である事を窺わせてくれる。個人的にはあの「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」のアクション風サントラで大ヒットを飛ばしたA. シルヴェストリのもう一つのヒューマンな作風を味わえる名作、⑫「フォレスト・ガンプ」が収録されていたのが嬉しかった。

オケもデイヴィスの要求に充分に応えており素晴らしい。ロンドンの5大オケではないものの、過去よりサー・チャールズ・マッケラスやヴァーノン・ハンドリー等の名指揮者達と共演を重ねてきており、実力の高さが窺える。カール・デイヴィスとは常任客演指揮者の関係にあるようだ。
ナクソスで登場するロンドンのオケといえば、過去マーラーやブラームスでもエントリーしたロンドン響ロンドン・フィルが思い浮かぶが、この辺り制作事情もあるのかもしれない。

クラシックの新譜ディスクの相場は大体2,500円前後だが、これだけの内容で1000円は実にお手頃といえるだろう。この辺りの資本力、企画力はさすがナクソス、といった所か。最近はNet配信にも力を入れており、今回の収録曲のサンプルもNet上で聴けるあたり、洋楽や邦楽のメジャー・レーベルと変わらない力の入れ様を感じる。i-podのようなデジタル・オーディオ・プレーヤーの出現でユーザーのニーズも変わってきたということだろうか。使い勝手は配信主体の時代になるのかもしれないが、音質的にはまだCD固体ディスクが勝っていると自分は思うのだが・・・。

なお、録音も優秀だが、多少演出を意識しているのだろう、ホールトーン以上のエコーがかかりすぎるきらいがあり、この辺り聴き手によっては好みの分かれる所だ。