もう10年近くになる。父親がヴァイオリンを習い始めたのは52歳の頃。きっかけは当時の単身赴任先の川崎で読んだ新聞の投書欄だったという。ある70代の男性からの投書。金婚式で妻にマリーの「金婚式」の演奏をプレゼントしようとヴァイオリンを練習しているという記事を読んで感銘を受けた父親は、早速思い立って会社近くの有楽町にあるヤマハのヴァイオリン・コースに入会。月3回、各40分のグループ・レッスンがスタートした。
一度だけ、レッスンのある日に父親と有楽町で飯を食べようと教室で待ち合わせをした事がある。若いOLさんに混じってヴァイオリンの弓をこする白髪の男性の姿が窓越しに見える。それが父だった。音は漏れてこないので、何となく演奏する姿は様になっている。紅一点ならぬ黒一点(^^)
これまでも学生時代のギター、社会人になって始めたエレクトーンと、楽器には以前から好奇心旺盛だった。自分自身、エレクトーンを習い始めたのは父のエレクトーンがきっかけだし、小学校時代、トランペットを始めた時は、休日にトランペットの練習をしに父と公園に行ったものだ。ヴァイオリンも単身赴任生活の中で見つけた、父親らしい趣味だった。
鍵盤楽器と違い、ピッチそのものを自分の耳で合わせないといけない事に加え、音そのものも自分で作り出すという弦楽器ならではの難しさ。ヴァイオリンは3歳くらいから始めないと身につかない、と言われるのも納得できる。そんな大変さを知っていたので、自分は習おうと思った事はなかったが、父は違った。元々、音を自分の耳で合わせる事にかけては得意ではない父(^^; おまけに、50を過ぎてからそんな楽器にチャレンジしようとするのだから、たいしたものだ。でもそれがアマチュアのいい所でもあるのだろう。思い立った時に、自分の出来る所から、自分なりに楽しめる人だった。
その内、グループレッスンだけでは物足りないと感じ、並行して別の楽器店で、個人レッスンにも通い出した。平日の会社帰りに加え、休日も利用してのWレッスンという熱心さ!一歩一歩、着実に練習を積み上げる父親らしい姿だった。個人のレッスンの発表会では、小学生の女の子とパッヘルベルの「カノン」を共演した事もあるという。発表会には行けなかったが、何ともほのぼのとした光景が目に浮かんでくる(^^)
5年前、単身赴任生活がようやく解消され、地元神戸へ。せっかく始めた趣味を続けようと、近所のヴァイオリン教室を探すも、見つからない。ヴァイオリン熱は覚めたかにみえた…が、2年前、ようやく近くのヤマハでヴァイオリン・コースが開設されたという。実は以前からバイオリン・コースを開設してほしいと、父はじかにリクエストをしていた。開設の情報を聞きつけるや、即入会。うーむ、その辺りも熱心(^^)
月2回、各50分の個人レッスンなので、自分のペースに合わせマンツーマンで進められるのが良いらしい。「千の風になって」や、グノーの「アヴェ・マリア」、「ダニー・ボーイ」と少しずつレパートリーも広がりつつある。ヴィブラートのかけかたも少しずつ様になってきた(^^)
そして昨年12月、それまで練習に使っていたサイレント・ヴァイオリンから、アコースティック・ヴァイオリンをついに購入!本物のヴァイオリン(画像)を手に入れた事で、練習にますます磨きがかかるようになったようだ。
コンサートも地元でヴァイオリンの川畠成道氏や、大阪でヴィオラの今井信子氏の演奏を聴く等、研究熱心なところも。たまに訪れる東京出張では、夕食をとりながら、親子でヴァイオリン・ネタで盛り上がるのも楽しいひと時となってきた(^^) グノーの「アヴェ・マリア」を練習していると知った時は、自分のディスク・ライブラリーからアルテュール・グリュミオーのグノーの演奏が収録されたディスクの提供もしたものだった。
今は会社休みの土日に、練習にいそしむ父だが、そんな会社人生も残すところ数年。引退後は新たな人生がスタートする。'07年問題に代表されるように、父と同じ団塊の世代が第2の人生を迎え始める時代がやってきた。
会社人生もいいが、たった一度の人生、自分だけの時間を何に使うかがこれから益々重要になってくるように思う。そんな中、50代にしてヴァイオリンという趣味を持った父親が羨ましい。マイ・ヴァイオリンを手に入れて今度はどんなレパートリーに取り組むのだろうか?今からでも遅くない。偉大なるアマチュア・ヴァイオリニストを目指してほしいものだ(^^)
何はともあれ、健康第一でいてほしい。一に健康、二にヴァイオリン(^^)
これからも豊かな人生を!
~2008年6月15日父の日の記念に…息子記す~
一度だけ、レッスンのある日に父親と有楽町で飯を食べようと教室で待ち合わせをした事がある。若いOLさんに混じってヴァイオリンの弓をこする白髪の男性の姿が窓越しに見える。それが父だった。音は漏れてこないので、何となく演奏する姿は様になっている。紅一点ならぬ黒一点(^^)
これまでも学生時代のギター、社会人になって始めたエレクトーンと、楽器には以前から好奇心旺盛だった。自分自身、エレクトーンを習い始めたのは父のエレクトーンがきっかけだし、小学校時代、トランペットを始めた時は、休日にトランペットの練習をしに父と公園に行ったものだ。ヴァイオリンも単身赴任生活の中で見つけた、父親らしい趣味だった。
鍵盤楽器と違い、ピッチそのものを自分の耳で合わせないといけない事に加え、音そのものも自分で作り出すという弦楽器ならではの難しさ。ヴァイオリンは3歳くらいから始めないと身につかない、と言われるのも納得できる。そんな大変さを知っていたので、自分は習おうと思った事はなかったが、父は違った。元々、音を自分の耳で合わせる事にかけては得意ではない父(^^; おまけに、50を過ぎてからそんな楽器にチャレンジしようとするのだから、たいしたものだ。でもそれがアマチュアのいい所でもあるのだろう。思い立った時に、自分の出来る所から、自分なりに楽しめる人だった。
その内、グループレッスンだけでは物足りないと感じ、並行して別の楽器店で、個人レッスンにも通い出した。平日の会社帰りに加え、休日も利用してのWレッスンという熱心さ!一歩一歩、着実に練習を積み上げる父親らしい姿だった。個人のレッスンの発表会では、小学生の女の子とパッヘルベルの「カノン」を共演した事もあるという。発表会には行けなかったが、何ともほのぼのとした光景が目に浮かんでくる(^^)
5年前、単身赴任生活がようやく解消され、地元神戸へ。せっかく始めた趣味を続けようと、近所のヴァイオリン教室を探すも、見つからない。ヴァイオリン熱は覚めたかにみえた…が、2年前、ようやく近くのヤマハでヴァイオリン・コースが開設されたという。実は以前からバイオリン・コースを開設してほしいと、父はじかにリクエストをしていた。開設の情報を聞きつけるや、即入会。うーむ、その辺りも熱心(^^)
月2回、各50分の個人レッスンなので、自分のペースに合わせマンツーマンで進められるのが良いらしい。「千の風になって」や、グノーの「アヴェ・マリア」、「ダニー・ボーイ」と少しずつレパートリーも広がりつつある。ヴィブラートのかけかたも少しずつ様になってきた(^^)
そして昨年12月、それまで練習に使っていたサイレント・ヴァイオリンから、アコースティック・ヴァイオリンをついに購入!本物のヴァイオリン(画像)を手に入れた事で、練習にますます磨きがかかるようになったようだ。
コンサートも地元でヴァイオリンの川畠成道氏や、大阪でヴィオラの今井信子氏の演奏を聴く等、研究熱心なところも。たまに訪れる東京出張では、夕食をとりながら、親子でヴァイオリン・ネタで盛り上がるのも楽しいひと時となってきた(^^) グノーの「アヴェ・マリア」を練習していると知った時は、自分のディスク・ライブラリーからアルテュール・グリュミオーのグノーの演奏が収録されたディスクの提供もしたものだった。
今は会社休みの土日に、練習にいそしむ父だが、そんな会社人生も残すところ数年。引退後は新たな人生がスタートする。'07年問題に代表されるように、父と同じ団塊の世代が第2の人生を迎え始める時代がやってきた。
会社人生もいいが、たった一度の人生、自分だけの時間を何に使うかがこれから益々重要になってくるように思う。そんな中、50代にしてヴァイオリンという趣味を持った父親が羨ましい。マイ・ヴァイオリンを手に入れて今度はどんなレパートリーに取り組むのだろうか?今からでも遅くない。偉大なるアマチュア・ヴァイオリニストを目指してほしいものだ(^^)
何はともあれ、健康第一でいてほしい。一に健康、二にヴァイオリン(^^)
これからも豊かな人生を!
~2008年6月15日父の日の記念に…息子記す~