10月23日から期間限定ロードショーで公開(~12月7日まで)された竹内まりやのデビュー40周年を記念したシアター・ライブ「souvenir☆the movie」を観る(横浜ブルク13にて)。シアター・ライブといえば6年前の2012年に山下達郎のシアター・ライヴを観たのを思い出すが、竹内まりやの場合、ツアーを含めたライヴ活動からは長年遠ざかっていただけに、まさに貴重な機会となった。
本人のキャリアからするとデビュー時代より表舞台に出なくなった山下達郎と1982年の結婚後に作られた作品が多かっただけに、今回、スクリーンに投影された2000年の「souvenir」中心に、2010年の「souvenir again」、2014年の「souvenir2014」の映像が加わったのは嬉しい限り。映像は2000年のものがメインだが、3つの映像の中では18年ぶりの復帰ライブ(当時45歳)となる「souvenir」がある意味一番、輝いていたかもしれない。音源はライヴ・アルバム(ジャケット画像)が2000年に既に発売されているので、今回はその映像版の位置付けでもあるだが、1987年のアルバム「リクエスト」に収められた「元気を出して」や1992年のアルバム「クワイエット・ライフ」の「家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)」などのヒット曲を映像を通じて見れたのはある意味感慨深いものがあった。
シアター・ライヴを観た感想としては、これまで声だけでも竹内まりやの世界観は充分に感じられてきたが、映像が加わることで、シンガーソングライターとしての存在感が引き立ち、本人への親近感が一層増したような感じがする。また、ステージから18年遠ざかっていても、ライヴ・パフォーマンスは現役の歌手と変わらず一流であることにある意味驚かされた。もちろん、夫の山下達郎が率いる達郎バンドの完璧なバックサポートによる部分も大きい(前メンバーのキーボーディスト重実徹や今は亡きドラマー青山純の姿が垣間見れたのは貴重)。しかし、何よりステージに立つまでの間には並々ならぬ日頃の鍛錬があったと思うし、そんな日々の努力あってのことだろう。
今回のシアターライヴを通じ、彼女の歌を聴いて改めて感じるのは“生きることに対しての肯定と、人生に対しての感謝”。日々生活する何気ない一日一日が、特別な一日であり(それは「毎日がスペシャル」のような歌にも表れている)、彼女なりの人生観がそのまま歌になって表れている。特に50代を超えて作られた、「いのちの歌」や、「静かな伝説(レジェンド)」などでもその姿勢は明らかだ。
映画の中では、山下達郎自身も彼女にコメントを寄せていたが、竹内まりやの音楽はショービジネスとは一線を画し、本人が作りたい音楽だけを、日々コツコツと作り続けてきたからこそ、時代が変わっても、作品は古びないものになっているのだろう。それは山下達郎の音楽作りともまさに一致する。
達郎ファンの一人としては、スクリーン上で、竹内まりやと山下達郎が一つのアングルに収まっているシーンが多く、夫婦の共演という視点からも楽しめた。「五線紙」では、小物のパーカッションを操る山下達郎のパーカッショニストとしての一面、「プラスティック・ラブ」では、達郎ライヴで聴かせるいつものシャウト、そして「LET IT BE ME」では、竹内まりや&山下達郎のデュエットによる夫婦共演。このデュエットの映像を観ると、竹内まりやには目力があるんだなと思う。ある意味山下達郎よりも男性的?と感じたのは自分だけだろうか。また、スタイルの良さ、英語の発音の巧さも、この夫婦ならではかもしれない。
来場客は竹内まりやファンはもちろんのこと、自分のような山下達郎ファンも多く含まれると思われた。どちらのファンにも満足させられるだけの内容を持っていることは間違いない。
今回のシアターライヴを通じ、夫婦であり、共にアーティストでありながら、支え合い、共に高めあう彼らの姿、生き方に改めて敬服した。夫婦共に応援していきたいし、これからも生きることの喜びを与える存在でいてほしい。
【こだクラ過去ブログ/竹内まりや関連】
■震災復興祈願 最新ディスクより 竹内まりや「いのちの歌」~東日本大震災より一年
■祝!竹内まりや、デビュー30周年ベストアルバム「エクスプレッションズ」リリース~夫、達郎との30年
■NHK「SONGS」に竹内まりやが再登場!~2000年の感動のライブ・パフォーマンスも放映
■クラシック&フュージョン界のアーティストが送るJ-POPの名曲~竹内まりやの「元気を出して」