「ミッキーマウス・マーチ」。ミッキーマウスだけでなく、ディズニーのシンボル的な位置付けであるこの曲は、元々1950年代に放映されたアメリカのTVアニメ「ミッキーマウス・クラブ」でジミー・ドッド(1910-1964)によって作曲された主題歌だったという。映画のサントラ曲ではなかったのは意外だが、誰もが聴き馴染みがあるディズニーの人気曲。そこで今回は以前エントリーしたディズニー・メドレーの形式ではなく、ミッキーマウス・マーチとして完結する4つのディスクをエントリーしてみたい。マーチングバンド版から合唱付きのオケ版まで、それぞれの編成やアレンジの違いを楽しんでみたい。(ジャケット画像:左上より時計回り)
■マーチングバンド版
ウォルト・ディズニー・ワールド・バンド
(日本コロンビア国内盤、エイベックス国内盤)
以前、「エレクトリカル・パレード」でエントリーしたアルバム「ディズニーランド/ウォルト・ディズニー・ワールド」に収録。小学6年の頃にこのアルバムに出会って以来、親しんできた本家米国フロリダのディズニーワールドのマーチンぐバンドによる音源。原題は「King Mickey」となっている。長らく音源の詳細情報が不明だったが、同一音源が収録されたエイベックス盤(アルバム「Disney's Jazz Album Big Band & Swing」:ジャケット画像上段左から2番目)の解説他によれば、ディズニーのオフィシャル・アナウンサーとして活躍したジャック・ワグナー(1925-1995)によるプロデュースで、20人のマーチングバンドによる1973年頃の音源という事が分かってきた。ディズニーキャラクターへのわくわく感をかきたててくれるこのマーチングバンド版は、東京ディズニーランドでもこの譜面の通り演奏されており、マーチングバンド版としての完成度の高さを窺わせる。技術レベルも高く、約40年が経った音源ながら、実際のパレードに居合わせたような臨場感を今に伝えてくれる。
■吹奏楽版(編曲:F.D.Cofield)
進藤 潤指揮 航空自衛隊航空中央音楽隊
(1992年録音、入間市民会館にて収録、キングレコード国内盤)
以前、「ロッキーのテーマ」でもエントリーした陸上自衛隊によるもの。アルバム「史上最大の作戦/スクリーン・マーチ傑作選」に収録。後半部の転調やエンディングでの掛け声等、聴かせ所の工夫が随所に凝らされた編曲となっている。演奏は、自衛隊音楽隊ならではのライヴ感溢れるパフォーマンスを求めたかったが、セッション録音ゆえか、ややノリには欠ける印象を持った。
■オケ版(編曲:Bill Pape)
アーサー・フィードラー指揮 ボストン・ポップス(編曲:Bill Pape)
(1972年頃録音、シンフォニーホール、ボストンにて収録、グラモフォン国内盤・海外盤)
ポップス・オケの巨匠、アーサー・フィードラーによる貴重な音源。アルバム「Salute to Disney」(ディズニーへの招待)に収録。ジョン・ウィリアムズ時代には、自作の映画音楽とのバッティングを気にしたのだろうか、ディズニー関連のレコーディングはなかったので、その意味でも貴重。編曲は特に凝ったものではないが、シンフォニーホールのたっぷりの残響の中、ストリングスによって導かれるテーマとブラスの響きが実に爽快だ。アーサーフィードラーの顔写真があしらわれた国内盤(ジャケット画像:下段右)と、野外ステージで演奏するフィードラー&ボストン・ポップスのかわいい手書きイラストの海外盤(ジャケット画像:下段右から2番目)の2枚を所有。
■オケ+合唱版(編曲:Ken Whitcomb)
エリック・カンゼル指揮 シンシナティ・ポップス他(編曲:Ken Whitcomb)
(1988年12月録音、ミュージック・ホール、シンシナティにて収録、TELARC海外盤)
最後に、オケに合唱も加わった音源を。以前、「エレクトリカルパレード」でエントリーしたアルバム「A Disney Spectacular」に収録。原曲通り、歌詞が入っているのがウリで、ここでは少年少女の合唱隊が起用されており、より壮麗なサウンドに仕上がっている。カンゼル&シンシナティ・ポップスにとって、ディズニーをコンセプトにしたアルバムは、ジョン・ウィリアムズ&ボストン・ポップスとカラーの違いを出す意味でも良かったのかもしれない。それにしてもこの曲の歌詞は意外と難しい・・・。これまで恥ずかしながら「ミッキー」を連呼するだけの歌だと思っていたが、この音源は正しい歌詞に直す矯正役としても役立った。