本日(2020年)4月11日は作曲家すぎやまこういち氏の御年89歳の誕生日。彼が作曲したドラゴンクエストの音楽は誕生から34年を経た今も多くの人に愛されている。コロナ影響で外出自粛が求められる中、最近では東京都交響楽団が音楽監督の大野和士氏のタクトのもと、ドラゴンクエストを含む人気曲を無観客で収録し、活き活きとした演奏を「 春休みの贈り物」と題してWEB上で公開したのが記憶に新しい。
自分自身、これまで都響のブラス・クインテット(2009年)やN響のコンサート(2017年)でドラクエサウンドに接したことがあるが、全国各地で行われている吹奏楽や管弦楽によるドラクエコンサートは現在も盛況のようだ。(今はコロナ影響で世の中のコンサート活動が自粛を余儀なくされているのが残念)そんな中、自分にとっての愛聴盤の一つに、「オーケストラ・ライヴ・レコーディング・ヴァージョン」というドラクエのオーケストラ版のライヴアルバムがある。
これは1988年8月29日に東京・五反田のゆうぽうと(簡易保険ホール)で行われた公演をライヴ収録した音源。このアルバムを個人的に気に入っている理由を主に3つ、この機会に綴っておきたい。その前に、まずは収録曲を。
【交響組曲「ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ」より】
1. 序曲「ドラゴンクエスト・マーチ」
2. ラダトーム城
3. 王城
4. 街の人々
5. 遥かなる旅路~広野を行く~果てしなき世界
6. レクイエム
7. 戦い~死を賭して
8. この道わが旅
9. フィナーレ
【交響組曲「ドラゴンクエストⅢ」】
10. ロトのテーマ
11. 王宮のロンド
12. 世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)
13. 冒険の旅
14. ダンジョン~塔~幽霊船
15. 鎮魂歌~ほこら
16. 海を越えて
17. おおぞらをとぶ
18. 戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦
19. そして伝説へ…
十束尚宏指揮 ファミリー・クラシック・オーケストラ
(1988年8月29日録音、ゆうぽうと(簡易保険ホール)にてライヴ収録、APOLLPON国内盤)
■その①: ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ・Ⅲからの収録曲
1988年といえばちょうど同年2月にドラゴンクエストⅢが発売された年。三作目が完成したタイミングでこのようなコンサートが開催されたのは自然な流れと言えるし、ファンにとっては待ちに待っていたプログラムだったに違いない。初期の三作はその後に続くドラクエ音楽のベースとなっただけでなく、個人的にも学生時代にドラクエサウンドにハマるきっかけとなった思い出深いもの。
また、アルバムではライヴ盤であることを意識したのだろうか、冒頭曲に入る前のオケのチューニング音や一曲毎に拍手も収録されており、当時のコンサートに自分も居合わせたかのような気分にさせてくれる。終曲の「そして伝説へ…」では、フライングの拍手が起こっており、聴衆の興奮ぶりも伝わってくる。
■その②:演奏は主にNHK交響楽団のメンバー
ドラクエⅢのサントラがNHK交響楽団によってレコーディング(1987年12月録音)されたのは当時画期的だったが、レコーディング翌年に収録された本ライヴ音源も主要なN響メンバーが参加している。本アルバムの表記は「ファミリー・クラシック・オーケストラ」となっているが、ジャケット解説には「NHK交響楽団メンバーによる」と記載がある通り、コンサートマスターは当時のN響の徳永二男氏で、まさしくN響が奏でるサウンドといえるだろう。特にⅠとⅡはサントラでは室内オケ編成の東京弦楽合奏団(コンマスはやはり徳永二男氏が担当)だったが、この音源では総勢60名規模のフルオーケストラによるサウンドで味わえるのが嬉しい。
なお、指揮はすぎやまこういち氏本人ではなく、十束尚宏氏が担当しているが、前年1987年8月20日にサントリーホールで東京弦楽合奏団によるドラゴンクエストの第1回ファミリー・クラシックコンサートを同指揮者によって開催(この時はドラクエⅠ・Ⅱを中心にプログラミング)しているので、十束氏にとっては2回目となる。
■その③:当時憧れのトランペット奏者も出演
ドラクエⅠ・Ⅱ・Ⅲには、Ⅰの序曲のマーチだけでなく、「フィナーレ」やⅡの「この道わが旅」、Ⅲの「冒険の旅」、「そして伝説へ…」といったように、ブラスセクションが活躍する曲が多い。そこで気になるのはこのオケで演奏している金管奏者のメンバー。ジャケット写真にはトランペットセクションに3名の奏者が写っているが、おそらく津堅直弘氏、飯塚一郎氏、栃本浩規氏の3人と思われる。この中で当時のN響メンバーは津堅氏一名だが、飯塚氏、栃本氏とは1990年頃より5名のトランペット奏者によるアンサンブル団体「トランペット5」でCDデビューを飾って活躍していた。個人的にはブラバンでトランペットをやっていた学生時代の憧れのメンバーでもあっただけに懐かしい。また、ホルンには松崎裕氏、チューバには多戸幾久三氏の姿が確認できる。いずれも今はN響を引退している団員だけに貴重な音源だ。
【こだクラ関連ブログ/ドラゴンクエスト関連】
■祝☆映画化!交響組曲 「ドラゴンクエストV」 天空の花嫁 ~ オーケストラ版ディスク5選
■NHK交響楽団が奏でるディズニー&ドラゴンクエストの世界(7月29日 ミューザ川崎)
■すぎやまこういち:交響組曲ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ~日英名門オケによるディスク聴き比べ
■東京メトロポリタン・ブラス・クインテットが奏でる「ドラクエの世界」(2月4日 第一生命ホール)
自分自身、これまで都響のブラス・クインテット(2009年)やN響のコンサート(2017年)でドラクエサウンドに接したことがあるが、全国各地で行われている吹奏楽や管弦楽によるドラクエコンサートは現在も盛況のようだ。(今はコロナ影響で世の中のコンサート活動が自粛を余儀なくされているのが残念)そんな中、自分にとっての愛聴盤の一つに、「オーケストラ・ライヴ・レコーディング・ヴァージョン」というドラクエのオーケストラ版のライヴアルバムがある。
これは1988年8月29日に東京・五反田のゆうぽうと(簡易保険ホール)で行われた公演をライヴ収録した音源。このアルバムを個人的に気に入っている理由を主に3つ、この機会に綴っておきたい。その前に、まずは収録曲を。
【交響組曲「ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ」より】
1. 序曲「ドラゴンクエスト・マーチ」
2. ラダトーム城
3. 王城
4. 街の人々
5. 遥かなる旅路~広野を行く~果てしなき世界
6. レクイエム
7. 戦い~死を賭して
8. この道わが旅
9. フィナーレ
【交響組曲「ドラゴンクエストⅢ」】
10. ロトのテーマ
11. 王宮のロンド
12. 世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)
13. 冒険の旅
14. ダンジョン~塔~幽霊船
15. 鎮魂歌~ほこら
16. 海を越えて
17. おおぞらをとぶ
18. 戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦
19. そして伝説へ…
十束尚宏指揮 ファミリー・クラシック・オーケストラ
(1988年8月29日録音、ゆうぽうと(簡易保険ホール)にてライヴ収録、APOLLPON国内盤)
■その①: ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ・Ⅲからの収録曲
1988年といえばちょうど同年2月にドラゴンクエストⅢが発売された年。三作目が完成したタイミングでこのようなコンサートが開催されたのは自然な流れと言えるし、ファンにとっては待ちに待っていたプログラムだったに違いない。初期の三作はその後に続くドラクエ音楽のベースとなっただけでなく、個人的にも学生時代にドラクエサウンドにハマるきっかけとなった思い出深いもの。
また、アルバムではライヴ盤であることを意識したのだろうか、冒頭曲に入る前のオケのチューニング音や一曲毎に拍手も収録されており、当時のコンサートに自分も居合わせたかのような気分にさせてくれる。終曲の「そして伝説へ…」では、フライングの拍手が起こっており、聴衆の興奮ぶりも伝わってくる。
■その②:演奏は主にNHK交響楽団のメンバー
ドラクエⅢのサントラがNHK交響楽団によってレコーディング(1987年12月録音)されたのは当時画期的だったが、レコーディング翌年に収録された本ライヴ音源も主要なN響メンバーが参加している。本アルバムの表記は「ファミリー・クラシック・オーケストラ」となっているが、ジャケット解説には「NHK交響楽団メンバーによる」と記載がある通り、コンサートマスターは当時のN響の徳永二男氏で、まさしくN響が奏でるサウンドといえるだろう。特にⅠとⅡはサントラでは室内オケ編成の東京弦楽合奏団(コンマスはやはり徳永二男氏が担当)だったが、この音源では総勢60名規模のフルオーケストラによるサウンドで味わえるのが嬉しい。
なお、指揮はすぎやまこういち氏本人ではなく、十束尚宏氏が担当しているが、前年1987年8月20日にサントリーホールで東京弦楽合奏団によるドラゴンクエストの第1回ファミリー・クラシックコンサートを同指揮者によって開催(この時はドラクエⅠ・Ⅱを中心にプログラミング)しているので、十束氏にとっては2回目となる。
■その③:当時憧れのトランペット奏者も出演
ドラクエⅠ・Ⅱ・Ⅲには、Ⅰの序曲のマーチだけでなく、「フィナーレ」やⅡの「この道わが旅」、Ⅲの「冒険の旅」、「そして伝説へ…」といったように、ブラスセクションが活躍する曲が多い。そこで気になるのはこのオケで演奏している金管奏者のメンバー。ジャケット写真にはトランペットセクションに3名の奏者が写っているが、おそらく津堅直弘氏、飯塚一郎氏、栃本浩規氏の3人と思われる。この中で当時のN響メンバーは津堅氏一名だが、飯塚氏、栃本氏とは1990年頃より5名のトランペット奏者によるアンサンブル団体「トランペット5」でCDデビューを飾って活躍していた。個人的にはブラバンでトランペットをやっていた学生時代の憧れのメンバーでもあっただけに懐かしい。また、ホルンには松崎裕氏、チューバには多戸幾久三氏の姿が確認できる。いずれも今はN響を引退している団員だけに貴重な音源だ。
【こだクラ関連ブログ/ドラゴンクエスト関連】
■祝☆映画化!交響組曲 「ドラゴンクエストV」 天空の花嫁 ~ オーケストラ版ディスク5選
■NHK交響楽団が奏でるディズニー&ドラゴンクエストの世界(7月29日 ミューザ川崎)
■すぎやまこういち:交響組曲ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ~日英名門オケによるディスク聴き比べ
■東京メトロポリタン・ブラス・クインテットが奏でる「ドラクエの世界」(2月4日 第一生命ホール)