ガブリーロフ盤と同じバッハの協奏曲を、マレイ・ペライア(b.1947)が弾き振りした演奏で改めて聴く。ぺライアは2000〜2001年にかけて、バッハの協奏曲のアルバムを2枚録音。ぺライア自身、1990年代は指の故障で演奏活動から遠ざかっていたが、そんな時、慰めとなっていたのはバッハの音楽だったという。
当時のぺライアの最新録音として、これまで自分も愛聴していただけでなく、ぺライア盤を通じてバッハの協奏曲を初めて聴いたという意味でも愛着のあるアルバム。ここでは、共演オケが、ガブリーロフ盤と同じアカデミー室内管弦楽団という点や、収録曲の内、第3番、6番、7番がガブリーロフ盤と同じ演目である点でも興味が沸く。
収録曲は以下の通り。
○ピアノ協奏曲第3番ニ長調(BWV1054:ヴァイオリン協奏曲第2番の編曲)
○ピアノ協奏曲第5番へ短調(BWV1056)
○ピアノ協奏曲第6番ヘ長調(BWV1057:ブランデンブルク協奏曲第4番の編曲)
○ピアノ協奏曲第7番ト短調(BWV1058:ヴァイオリン協奏曲第1番の編曲)
マレイ・ぺライア(ピアノ・指揮)
アカデミー室内管弦楽団
(2001年5月録音、Air Studio、Londonにて収録、SONY輸入盤)
まるでモーツァルトの協奏曲を聴いているかのようなバッハ。ピアノがストリングスと一体化し、軽やかに舞う。ペライアの演奏には、以前ヘンデル作品を聴いた時と同様、即興性や、解釈の自由度を感じさせる。
弾き振りという形態にもその要因があるのだろう。ピアニストがオケもコントロールできる立場であるため、オケとの一体感はガブリーロフ盤よりもよく出ている。
ペライアは、1970~80年代にかけて、イギリス室内管とモーツァルトの協奏曲全曲を弾き振りでレコーディングを行っているが、当時の経験も活きているのだろう。アカデミー室内管弦楽団とも抜群の相性で聴かせてくれる。
バッハのピアノ協奏曲って、こんなにも親しみやすい曲なのか・・・初めて聴いた時の新鮮な感動が蘇ってきた。