ついにラーシュ・ヤンソンのライブを聴ける時がきた。11月後半から12月初旬まで2年ぶりの来日ツアーという情報をHPを通じて事前キャッチしていたものの、気が付いたらもう最終の3公演前。慌てて6日の「新宿PIT INN」での公演を前日に予約。残りの会場は満員御礼だっただけに、まさしくラッキーだった。
「新宿PIT INN」はかつてライブハウスで訪れた青山の「ブルーノート東京」やみなとみらいの「モーションブルー横浜」、六本木の「スイートベイジル139」と違い、基本的に1ドリンクのみ、100席程度の大衆的な雰囲気のある老舗ライブハウス。ステージ両脇にJBLをモニタースピーカーとして壁掛けしているあたりがイイ。豪華な食事と会場のステイタス感に酔う、というよりも、本当にジャズ好きな人だけが集まっているんだろうなあと思わせたのが、若い人が多かった事。これはラーシュ・ヤンソンのファン層だからなのだろうか?それとも、「新宿PIT INN」に集う来場層なのか?いわゆるカッコつけでジャズの雰囲気に酔いに来ているというよりも、自分と同じヤンソンの音楽を聴きたくて…というスタンスの客層に好感が持てた。東京のジャズのメッカ「ブルーノート東京」は豪華ゲストが集う反面、チケットが高いし、敷居も高い(^^;
<出演>
ラーシュ・ヤンソン(ピアノ)
森 泰人(コントラバス)
アンダーシュ・シェルベリ(ドラムス)
ライブは以前エントリーしたソロ・アルバムにも収録されていた「More Human」でスタート。
ジャズピアニストの和泉宏隆氏も、ヤンソンには多大な影響を受け、自らも「More Human」をカバーをしているだけに嬉しいオープニング曲だ。
ヤンソンの奏でる北欧ジャズは、初めてジャズを聴く人にもどこか親しみやすさを持って響いてくるものがある。それはヤンソンの音楽が持つ叙情性とも関係があるのだろう。北欧出身の大作曲家、グリーグやシベリウスの音楽との共通点も見出せるような気がする。
ライブならでの一体感も素晴らしい。一見、3人の奏者それぞれが別々の動きしているように聴こえるが、プレイヤー間で生み出されるインタープレイは、やはりジャズの醍醐味といえるだろう。後半でやはりソロ・アルバムに収録されていた「Hope」や、最新アルバム「I am That」からの曲が聴けたのは嬉しかった。
今回、ライブでヤンソンの叙情的なピアノと同じくらい、素晴らしいプレイを見せてくれたのが森氏のベース。彼の北欧の深い森を思わせるような太い音は、トリオの存在感を際立たせてくれる。森氏の果たす役割はサウンド面だけではない。'81年からスウェーデンに在住している彼が'94年から現在に至るまで日本で「スカンジナビア・コネクション」と名打ったライブを通じ、北欧ジャズの普及を図った功績は実に大きかったように思う。
ちなみに曲間のMCも彼が担当。日本人である事で、彼らの近況も実感を持って伝わってきたのは嬉しかった。ヤンソン(b1951)、森(b1952)、シェルべリ(b1952)は同世代なのも、彼らのチームワークの原動力なのだろう。
ちなみにヤンソンはツアー中に浜松公演の際には禅を体験したりと、日本を満喫しているようだ(^^)
今回のライブの記念に、以前購入していたアルバム、「AT EASE」を聴く。これは彼らが'01年の6月1・2日に南青山のライブハウス「Body & Soul」で収録したライブアルバム(スパイス・オブ・ライフ国内盤)。新宿のライブと同じ「Hope」が収められているのも嬉しい。
冬の到来を感じる寒さの夜、ホットな気分になれるひとときとなった。
そういえばiPodにヤンソンの音楽を入れるのを忘れていた…。早く入れねば!