問題 前向きコホート研究の集計結果を表に示した。要因 A の曝露による疾病 B の罹患の相対危険と寄与危険割合の組合せとして最も適当なのはどれか。 1つ選べ。

(相対危険)    (寄与危険割合)

⑴     0.50              500

⑵     0.50                50

⑶     0.50           0.33

⑷     2.0             0.33

⑸     2.0             0.50

 

 

答え 5

 

表 前向きコホート研究における要因 A の曝露の有無別の観察人年と疾病 B の罹患者数

 

曝露   観察人年   罹患者数(人)
  有    10,000       100
  無    10,000         50

 

解説

表を以下のように作り替えると、罹患率、相対危険度、寄与危険割合(%)が計算できる

曝露  罹患者数 健常者 観察人年  罹患率 相対危険度   寄与危険割合(%)        

有   100   9900   10000  100/10000  100/50 (100-50)/10000 x100

無       50   9950   10000    50/10000       2.0          0.50

 

200 食塩摂取量の変化とその考察を踏まえて、市民の食塩摂取状況の課題解決に向け て、取組を見直した。最も適切なのはどれか。 1つ選べ。

  (1) 民間のレシピサイト運営会社と連携し、民間のサイトで、市の減塩レシピの情報発信を行うことにした。

  (2) 市民公開講座の会場を、収容人数が大きい施設に変更することにした。

  (3) 調理実習の回数を増やし、土日の開催も行うことにした。

  (4) 市内のスーパーマーケットと協働して、減塩をうたわず、弁当や惣菜中の食塩量の低減を行うことにした。

 

 

表 K市の4年間の減塩の取組    

取組1 市のウエブサイトにおける減塩レシピの掲載(計 80レシピ)

取組2 減塩に関する市民公開講座の開催(年1回 200人参加)

取組3 減塩料理の調理実習の開催(平日年4回 20人/ 回参加)

 

 

【解説】

(1)は、取組1 減塩レシピの閲覧数が不明であるので、どれぐらい効果が得られるか不明

(2)(3)は、減塩に対する意識の高い者の参加率は高いが、低い者の参加率は低く、取組の効果が低いと予想される。

(4) 弁当や惣菜といった毎日の食事で減塩しているので、K市のかなりの者で減塩効果が期待できる(ポピュレーションアプローチ)。

正解 4

198 取組開始時と中間評価時に、それぞれ市民 1000 人ずつを無作為抽出し、横断調査を実施した(開始時:上図、中間評価時:下図)。調査方法は同一である。市民の食塩摂取量の変化に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1つ選べ。

 

(1) 集団全体の食塩摂取量の平均値は下がったが、中央値は変わらなかった。

(2) 集団全体の食塩摂取量の平均値及びヒストグラム上の最頻値は下がった。

(3) 集団全体の食塩摂取量の分布のばらつきは大きくなったが、範囲(レンジ)は狭まった。

(4) 第 1 四分位点未満の者の食塩摂取量は下がったが、第 3 四分位点以上の者の食塩摂取量は上がった。

(5) 第 1 四分位点未満の者の人数は減ったが、第 3 四分位点以上の者の人数は増えた。

 

【解説】

(1) 集団全体の食塩摂取量の平均値は下がったが、中央値は変わらなかった。

 

    開始時 中間評価時  結果

平均値 11.3 g ==> 10.9g  下がっている

中央値 11-12 ==> 10-11  下がっている

とグラフから読み取れる。

平均値、中央値ともに下がっている。

(1)は誤りである。

 

(2) 集団全体の食塩摂取量の平均値及びヒストグラム上の最頻値は下がった。

 

    開始時 中間評価時  結果

平均値 11.3 g ==> 10.9g  下がっている

最頻値 10-11 ==> 10-11  現状維持

とグラフから読み取れるので、

平均値は下がっているが、最頻値は現状維持である。

(2)は誤りである。

 

(3) 集団全体の食塩摂取量の分布のばらつきは大きくなったが、範囲(レンジ)は狭まった。

 

ばらつきも範囲(レンジ)も、標準偏差(分散)のことであるので、

 ばらつきが大きくなれば範囲も大きくなる

 ばらつきが小さくなれば範囲も小さくなる

つまり、

「ばらつきは大きくなったが、範囲(レンジ)は狭くなる」ことはない

(3)は誤りである。    

※標準偏差 2.5g ==> 3.1g と範囲(レンジ)は広くなっている

 

(4) 第 1 四分位点未満の者の食塩摂取量は下がったが、第3四分位点以上の者の食塩摂取量は上がった。

 

ヒストグラムの①線は下図(中間評価)で左側にずれたので、下がったことが秒でわかる。

つまり、第 1 四分位点未満の者の食塩摂取量は下がった。

(4)は正解

 

(5) 第 1 四分位点未満の者の人数は減ったが、第 3 四分位点以上の者の人数は増えた。

 

第 1 四分位点未満の者 5+20+50+80=155 => 40+60+80= 180 増えた

第 3 四分位点未満の者 第 1 四分位点未満の者の人数が増えたので計算する必要なし

(5)は誤り。

 

197 食事記録内容の確認を行ったところ、飯の量が「茶碗 1 杯」と記録されていた。この場合に重量を推定するための対応である。最も適切なのはどれか。 1つ選べ。

  (1) あらかじめ設定された換算表を用いて推定する。

  (2) 調査員の自宅で使用している茶碗の大きさから推定する。

  (3) 口頭で、普通盛りか、大盛りかを、対象者に確認して推定する。

  (4) フードモデルや実物大食品カードを用いて、対象者に確認して推定する。

 

考え方 調査対象者が目の前にいるという前提で考えると

(1)目の前に対象者がいるので「茶碗の大きさ」を聞いてしまうのが速いでしょう。

(2)では茶碗の大きさがよくわからない

(3)調査員がイメージした茶碗と対象者がイメージした茶碗のサイズに違いがあるかもしれないので、大盛りや普通盛りといわれても量に誤差が出るだろう

(4)実物大の見本を見てもらい選んでもらえば、茶碗サイズの誤差が小さく、選択肢(2),(3)よりも食べた量が正確だろう

 

正解4

196 食事調査の実施前に、世帯の代表者または世帯で主に調理を行う者に対して、説明会を行う。食事記録を行う際の留意点として説明する内容である。 誤っているのはどれか。 1つ選べ。

 (1) 特別な行事などがない、普段の食事の記録をしてください。

 (2) 単身赴任など離れて暮らす家族の食事も記録してください。

 (3) 家庭外で飲食したものも、記録してください。

 (4) 計量できるものは、計量してください。

 (5) 計量が難しい場合は、目安量で記録してください。

 

 

考え方 誤っているものから消していく。

 

(1) vs (2)で、食事調査は普段の日に何を食べているのか、知りたいので、(1)の内容は正しい。(2)は、その家に住んでいない人の食事は必要ないので、(2)は完全に誤っている。

(3)家庭外つまり外食した分も調査に必要なので、(3)の内容は正しい。

(4)、(5)食事調査では、何を食べているのかなるべく数字で表したい。重さでわかるものは重さで、どうしても測定できないときは、「普通サイズの茶碗で一杯」とか記録する。よって、(4)(5)の内容は正しい。

 

正解(2)

次の文を読み「195」、「196」、「197」に答えよ。

K 県健康増進課に勤務する管理栄養士である。K 県では、国の結果と比較できるように、国民健康・栄養調査と同じ方法で、県民健康・栄養調査を実施することに なった。

 

195 調査員として非常勤の管理栄養士・栄養士を雇用する。調査の精度を高めるため に行うべきことである。最も適切なのはどれか。 1つ選べ。

(1) 栄養指導の実務経験 10 年以上の者を雇用する。

(2) 業務で食事調査の経験のある者を雇用する。

(3) 調査方法の手技を確認・練習する研修会を行う。

(4) 調査方法のポイントをまとめ、調査員に配布する。

 

 

考え方  勝ち抜き戦で正解を選んではいかが?

 

調査員として (1)vs (2) では、(2)に調査の経験があるので勝ち

(1) 栄養指導の実務経験 10 年以上の者を雇用する。

(2) 業務で食事調査の経験のある者を雇用する。

 

 (2)vs (3) では、(2)は経験あるが、今回の調査方法を知っているわけではない。(3)は、今回の調査方法を習得でき、調査精度が上がるので、(3)の勝ち

(2) 業務で食事調査の経験のある者を雇用する。

(3) 調査方法の手技を確認・練習する研修会を行う。

 

(3)vs (4) では、(4)は調査方法の研修をしていない。調査方法のポイント通りに調査員がやってくれるか不明。(4)は今回の調査方法の研修をおこなっておりうまく調査できると思われる。 (3)の勝ち

 

(3) 調査方法の手技を確認・練習する研修会を行う。

(4) 調査方法のポイントをまとめ、調査員に配布する。

 

結論

(3)が勝ち残った。答えは(3)。

16 介護保険制度に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。

(1) 保険者は、国である。

(2) 被保険者は、30 歳以上の者である。

(3) 要介護状態は、介護の必要の程度に応じて区分される。

(4) 要介護認定は、主治医により行われる。

(5) 要介護度に応じて利用するサービスについて、利用者自身が選択・決定する

ことはできない。

 

 

最も適当な選択肢は、(3) 要介護状態は、介護の必要の程度に応じて区分される。

 

介護保険制度は、高齢者の介護に対する支援を提供するための制度であり、要介護状態に応じて介護サービスが提供されます。要介護状態は、「要支援」および「要介護」に細分され、要介護はさらに1から5の等級に分けられています。これにより、利用者の介護ニーズに応じたサービスが提供されることが保証されます。

 

それぞれの選択肢についての説明は以下の通りです。

 

(1) 保険者は、国である。→ 誤り。介護保険制度の保険者は、市町村や特別区です。

(2) 被保険者は、30 歳以上の者である。→ 誤り。介護保険制度の被保険者は、40歳以上の後期高齢者(75歳以上)と前期高齢者(65~74歳)が対象です。

(4) 要介護認定は、主治医により行われる。→ 誤り。要介護認定は、市町村が運営する介護保険審査委員会が行います。主治医は、要介護認定の過程で意見を提供することがありますが、認定自体は委員会が行います。

(5) 要介護度に応じて利用するサービスについて、利用者自身が選択・決定することはできない。→ 誤り。介護保険制度では、要介護度に応じたサービスプランを作成し、利用者が選択・決定することができます。これにより、利用者のニーズに合ったサービスが提供されるようになっています。

15 地域保健に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。

(1) 都道府県以外は、保健所を設置できない。

(2) 結核発生時の接触者健康診断は、保健所の業務である。

(3) 医療機関の監視は、市町村保健センターの業務である。

(4) 食品衛生の監視は、市町村保健センターの業務である。

(5) 人口動態統計に関する業務は、市町村保健センターによって行われる。

 

 

最も適当な選択肢は、(2) 結核発生時の接触者健康診断は、保健所の業務である。

 

保健所は、地域保健を担当する公的機関で、感染症対策や食品衛生、環境保健、保健医療・公衆衛生などの業務を行っています。結核発生時には、保健所が接触者健康診断を実施し、結核の感染拡大を防ぐ役割を果たしています。

 

それぞれの選択肢についての説明は以下の通りです。

 

(1) 都道府県以外は、保健所を設置できない。→ 誤り。都道府県、政令指定都市、中核市に保健所が設置されることが一般的です。

(3) 医療機関の監視は、市町村保健センターの業務である。→ 誤り。医療機関の監視は、都道府県の保健所が行う業務です。

(4) 食品衛生の監視は、市町村保健センターの業務である。→ 誤り。食品衛生の監視は、保健所が行う業務です。

(5) 人口動態統計に関する業務は、市町村保健センターによって行われる。→ 誤り。人口動態統計に関する業務は、市町村役場が行います。

14 わが国のデータヘルス計画に関する記述である。 誤っているのはどれか。 1 つ選べ。

(1) 医療法に基づいて策定される。

(2) 保険者がレセプトのデータを分析し、活用する。

(3) 被保険者の QOL の改善に役立てる。

(4) 医療費の適正化を目指している。

(5) 保健事業計画の策定に役立てる。

 

 

誤っている選択肢は、(1) 医療法に基づいて策定される。

 

データヘルス計画は、わが国の健康保険制度において、医療費の適正化や保険者の保健事業計画策定、被保険者のQOL改善を目指すために、レセプト(診療報酬請求書)のデータを分析・活用する計画です。この計画は、健康保険法に基づいて策定されるものであり、医療法ではありません。

 

それぞれの選択肢についての説明は以下の通りです。

 

(2) 保険者がレセプトのデータを分析し、活用する。→ 正しい

(3) 被保険者のQOLの改善に役立てる。→ 正しい

(4) 医療費の適正化を目指している。→ 正しい

(5) 保健事業計画の策定に役立てる。→ 正しい

13 わが国の社会保障における 4 つの柱(社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医 療・公衆衛生)に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。

  (1) 予防接種を行うのは、保健医療・公衆衛生である。

  (2) 高齢者に年金を給付するのは、社会福祉である。

  (3) 生活保護は、社会保険である。

  (4) 社会的弱者を援護育成するのは、公的扶助である。

  (5) 医療機関での現物給付を行うのは、社会福祉である。

 

 

最も適当な選択肢は、(1) 予防接種を行うのは、保健医療・公衆衛生である。

 

わが国の社会保障の4つの柱に関する説明は以下の通りです。

 

社会保険: 雇用者や労働者が加入し、年金、健康保険、労働保険などの保障を提供する制度。

社会福祉: 公共の福祉サービスや支援を提供する制度。児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉などが含まれる。

公的扶助: 経済的に困窮した人々に対し、生活保護や児童扶養手当などの給付を行う制度。

保健医療・公衆衛生: 国民の健康を維持・向上させるための制度。予防接種、健康診断、感染症対策などが含まれる。

それぞれの選択肢についての説明は以下の通りです。

 

(2) 高齢者に年金を給付するのは、社会保険である。

(3) 生活保護は、公的扶助である。

(4) 社会的弱者を援護育成するのは、社会福祉である。

(5) 医療機関での現物給付を行うのは、社会保険(健康保険)である。