「灯火のランナー」
作.手ぶlove
ある男が夢の中で絶望していた。
「オレは、もうダメだ
生きててもしょうがない」
「もうたくさんだ
身も心もボロボロだ」
ある意味、限界だった。
男は絶望の真っ只中で袋小路に追い込まれ
酒を浴びる程飲む悪夢を見ていた。
~男は憂鬱な気分で目を覚ました。
染みだらけの天井が見えた。
電気は点けっ放しでコタツの上にはビールの空き缶が無造作に転がっている。
男はたちまち現実に引き戻された。
「ちくしょう、なんて夢だ!
そのまんまじゃねーか!」
昨晩、自分の人生に嫌気が差した男は
何もかも忘れたくて深酒をしてそのままコタツで寝てしまっていた。
寝ても覚めても同じだった。
「まさか…これも夢見てんじゃねーだろうな?」
男は頬をつねると少しだけ笑った。
それから、フラフラと立ち上がると
外へ出て歩いた。
ひんやりとした朝の空気を吸い込む。
男はこれが現実なのか確かめるかのように
ゆっくりと走り出した。
「オレはまだ…生きてる」
息が弾み、それに呼応して朝靄に浮かぶ
見たことのない風景が過ぎて行く。
男は酒臭い息を浄化するモーターのようにスピードを上げて走った。
躍動する筋肉
脈打つ鼓動
ほとばしる汗
「夢か現実かなんて…
どっちでもいいじゃねーか」
「んなこたーよ!ハッハ!!」
男はどこまでも走り続けた。
これもまた夢なんでしょうかね?
では、また
夢であいましょう☆
完
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楽曲「炎のランナーテーマ曲」ヴァンゲリス