☆ヒナタの大冒険☆前編

夏の間は網戸全開で過ごす我が家。

しかし、今年は悩まされました

その悩みのタネはというと…

ヒナタ、もうすぐ一歳の女の子(猫)。

最近外の世界(庭と玄関側の草むら限定)に思いを馳せる、好奇心旺盛な(だけどちょっとビビりな)乙女である。

平常心を装いつつも、隙あらば常に脱走を試み、網戸はボロボロ

私は網戸を毎日直し、子供が開けっ放しで庭に遊びにいかないかと、目を光らせている。

その攻防戦は日々イタチごっこの様に繰り広げられ、互いを磨き合った

彼女(猫)は私の声色で、危険度を察知する術を身に付け、

また私はというと網戸の前の障害物を乗り越えてウッドデッキに着地する彼女(猫)の小さな足音で脱走を察知する能力を習得した

壁を蹴破って脱走するサントハイムのアリーナ姫と、それを阻止しようとする王様さながら

とにかく今日も目は光らせていたつもりが、一ヵ所立て付けが悪くてなかなか開かない網戸に対して、私は甘かったようだ

柔らかいご飯(たまにしか出ないスペシャルご飯)と水を用意して呼んでみても反応無し。

不信に思い、全網戸のチェックをしてビックリ

なんと、立て付け悪くて開けにくい網戸が、ついに開けられるようになっていたようだ

最近猫じゃらしで筋力つきまくってるからなぁ

庭側ならば、大抵私の『ヒナッ』の一言で家の中にすっとんでくるのだが、厄介な玄関側。

ウチはマンションで、玄関といっても薄暗い駐輪場の真裏。

駐輪場とマンションフェンスの間には防犯の為に膝の高さまである木が隙間なく植えてある。

特に夜は懐中電灯があっても見えにくい。歩いて近づけない。

これまたヒナタの色が木や土の所で保護色のようになり、以前玄関側に脱走した時も本当に大変だった。

前回は、優しく声かけをしたらなんだかんだいっても騙されて数十分で出てきたのだが、今回はなかなか出てこない。

『どーせ甘いフリして、出ていけば地獄なんだわ』と呟いているように、フニャフニャいいながら、あえて私から離れて土の上で寛ぐヒナタ

柔らかいエサを見せても『フーンだ』といった感じでこちらを見下しているようである

もう自転車の隙間に何度も這いつくばって真っ黒

この草むらからは一歩も出る勇気がないクセに、優雅な顔で優越感に浸りながらこちらを眺めているサマに、『クッソー』と苛々も積もる。なんかもー、無性に腹立つわ

しかし、やはりこちらが苛々すると感じ取るので出来るだけ優しく声かけをしながら粘る私。

あっちへ行けばこっちへ

こっちへ行けばあっちへの繰り返しで、仕舞いにキレた私は、木の枝をかき分けて『行けないこともないんですけど』と強行手段に出る。

さっきまで余裕のヨッチャンだったヒナタは目を真ん丸にし、鼻をヒクヒクとはいえ、真っ暗だし近寄るとすぐ逃げるしでどうしようもない

考えてみたら小一時間は子供を部屋にほったらかしでこんなことしてるわと我に返り、いったん退く事に

虫の侵入が懸念されるが仕方なく、ヒナタが出た網戸を元の幅に開けて、

よし、作戦変更だ

家の中からチョコチョコ優しく声かけしながら、とりあえず子供達にご飯を食べさせなきゃ

意外に長いなぁ

後半に続く…