「現代貨幣理論(MMT)」について | こぶなの学校 

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主に経済についてやっていきます。


現在、「現代貨幣理論(MMT)」というものがアメリカで論争になっているらしい。
日本でもこれについて論争している人達がいる。
  
現代貨幣理論(MMT)の賛同者は、この様に言っています。
「独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行することが可能。」
 
そのような論争がされている事や、そのような話がされている事について、私は困惑しています。
『以前』にそんな論争があったとか、
『以前』にそういう話がされていた、
というのならよかった。
しかし『今』そんな話がされていているのだから、どうなっているのかと思う。
 
 
「通貨を限度なく発行する」のと同様の事を、20年くらい前からやっている国があります。
日本がそうです。
 
日本は、これまでに沢山の日本国債を発行してきました。
日本国債というものは、簡単に言うと貯金にしか使えない一万円札みたいなものなのです。
そんなものを日本は毎年数十兆円という規模で新たに発行してきています。
 
ですので、
日本国債を何十兆円も発行する × 20年
という事をしてきた日本は、
「通貨を限度なく発行する」のと同様の事をすでにやっている、と言えるんです。
 
ではその結果はどうかというと、いまだに経済や景気で悩まなくてはいけない状況から逃れられていない。
 
そんな結果があることは『以前』から分かっていたことです。
だから『今』になって「現代貨幣理論(MMT)」というものが論争になるようでは、おかしい。
 
  
また、『今』はもっと違う事まで考えなくてはいけなくなっている。
 
リーマンショックの後には、他の国も「政府の政策」によって不景気に陥りそうな経済を立て直そうとしました。
その結果は、芳しくないものでした。
 
「政府の政策」によって「景気を良くした」国もありました。
だだ、それはバブルが膨らむことで景気が良くなった、というものになりました。
 
例えば、中国は「通貨を限度なく発行する」という姿勢で経済政策を行いました。
そうしたところ、巨大無人都市ができてしまいました。
巨大無人都市が造られていく過程では、巨大無人都市を造る仕事に関わる大勢の人達が給料を貰えます。
給料を貰えるようになった人達は、欲しかったものを買ったりするでしょう。
ですから中国の経済政策は、景気を良くする、という点においては目標を達成しています。
 
ただ、
通貨を限度がないと表現できるほどに発行しました。
そのせいで不動産バブルが膨らみました。
不動産バブルが膨んでいるうちは皆の所得や消費が増えました。

というのでは、『失敗』なんです。
 
 
日本と中国の結果から『今』の経済の傾向を考えるなら、こういう事が言える。
 
「通貨を限度なく発行する」という姿勢で経済政策を行い、
お金があまり動かないなら日本の様になり、
お金が盛大に動いたとしても中国の様になりかねない。
 
重要な点は、
「政府の経済政策によってお金が動くようになってさえ駄目」
ということです。
 
こう言ってもいいでしょう。
「お金が盛大に動くだけでは駄目」
 
しかし、
政府の人達がお金の行き先を誘導し、
それによって「通貨を限度なく発行する」ような経済政策を活かす、
なんてことは出来るものではありません。
出来るものではないから「経済をコントロールできる気になってはいけない」という教訓もある。
 
 
では、どのように経済を考えていけばいいのか?
 
これは、まだ誰にも答えが出せない問題です。
だから経済に関して論争があるのは大いに結構。
 
ただし、「現代貨幣理論(MMT)」だのというものの論争が『今』になってされているというのは、ちょっとおかしいと思うのです。
これはもっと『以前』に論争することができたもので、そんなものを今更取り上げて、何になるのか。
 
 
「独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行することが可能。」
という話にも、いったいどれだけの価値があるのやら。
私は、この話を見て困惑しました。
まるで、
「独自の切手を持つ国は、切手を限度なく発行することが可能。」
という話でも見たような気分になりました。
 
なぜそんな話をしているの?
と思う。