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無観客なのに球場クラスター危機! 7月10日プロ野球“観戦解禁”に水を差す一部ファン 周辺たむろし酒あおり歓声


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  新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3カ月遅れでよう

やく開幕にこぎ着けたプロ野球。


 

   日本野球機構(NPB)は22日の12球団臨時代表者会議

で、政府の指針に従い7月10日から一部観客を入れて試合

を開催する方針を確認した。

 


 

   観戦解禁に向けて念入りな感染症対策を講じ、球場内で

のクラスター発生を防ぐ構えだが、開幕3連戦でそんな努力

に水を差す不穏な兆候が見られた。

 


 

   臨場感を求める一部のファンが球場周辺で密をつくり、

 

無観客試合でもクラスターが発生するリスクが高まっている

 


 


 

                                ◇

 


 


 

  巨人-阪神の開幕戦が行われた19日、東京ドームの

周辺ではガラス張りのゲートから中をのぞき込むファンの

姿が見られた。

 


 

   マスクはしているものの、互いにソーシャルディスタンス

を確保しているとは言い難い状況。


 

   ラジオやスマホで中継を楽しみつつ、球場内の様子を少

しでも見ようと人垣ができ、中にはマスクを外して缶ビール

をあおりつつ、球場外観戦を楽しむ人まで現れた。

 


 

  DeNAが広島を迎え開幕3連戦を行った横浜スタジアム

は、スタンドへの通路から球場内の一部が見える構造だが、

黒い幕を張り視界を遮断。

 


 

   密の発生を未然に防ぐ対策を取っていた。

 


 

  22日の第10回「新型コロナウイルス対策連絡会議」で、

 

専門家チームの座長を務める賀来満夫東北医科薬科大

特任教授は、試合中に球場周辺をたむろするファンを「多く

の方が集まり、3密になっての会話が起こりうる可能性が

ある。そこにはリスクがあるということを伝えていかないと

いけない」と憂慮。


 

   通常開催を目指す各球団が感染リスクを抑えるため、

赤字覚悟の無観客試合を行っているのに、球場のすぐ近く

で3密をつくられては元も子もない。

 


 

  賀来教授は「その場は楽しいけれども、3密はできるだけ

避けてほしい。まず、マスクをすること。お酒も飲んでいい

のですが、そのときは手洗いをして、できるだけ周囲と距離

を取っていただくことは守ってほしい。球場外にはリスクが

ある。ぜひメディアの方からもお伝えしていただきたい」と訴

えた。

 


 

  さらに賀来教授は「これは、観客が入ったあとも続いていく

 

問題です」とも強調。

 


 

   7月10日から観戦解禁とはいえ、当面は最大5000人で、

 

8月1日からも満員の50%が上限だ。

 


 

   チケットを入手できなかった一部のファンが、少しでも観戦

 

気分を味わおうと、球場周辺に集まってくることは想像にたや

 

すい。

 


 

  ある球場の関係者は「公園内にあったり、駅と直結して乗り

 

換え通路が通ったりしている球場は多い。球団の一存で通り

 

を閉鎖して、集まるファンを締め出すことは不可能。警備スタ

 

ッフがこまめに巡回し、距離を取ってもらうように声掛けする

 

くらいしか対応が思いつかない」。

 


 

   球場の立地上、強い対応も取れず、頭を抱えている。

 


 

  さらに球団側の手が届かない範囲でも、プロ野球の開催が

 

密を誘発する兆候が出ている。

 


 

   試合の日は“コロナ前”の習慣のままに、ファン同士が球場

 

周辺の飲食店に集い交流。

 


 

   開幕3連戦中に横浜スタジアム近隣の居酒屋で大盛り上が

 

りする様子を、テレビで見た在京球団の職員は「広いスタンドに

 

入れた方が安全。あっちの方がよほど危ない」と眉をひそめる。

 


 

  NPBの斉藤惇コミッショナー(80)も、「球場の中は無観客な

 

のに、周りのスポーツバーなどでは密の状況でお酒が出て騒

 

いでいる、と先生方からも指摘があった」と問題視。

 


 

   これまでならごく当たり前の楽しみ方が、“ウィズコロナ”の新

 

しい日常では通用しないのだ。

 


 

  閉鎖された空間で酒を飲みながら歓声を上げるなど、今や

 

自殺行為でしかない。

 


 

  「野球をエンジョイしておられる方々、球団と相談しながら密に

 

ならないように、そのへんのサービス施設との打ち合わせも考え

 

ていかないといけない」と斉藤コミッショナー。

 


 

   本来ならNPBの管轄外ではあるが、プロ野球の開催が引き

 

金となって飲食店での感染リスクを高める事態には、主体的に

 

対処していく社会的責任がある。

 


 

  この日の東京都内の新規感染者は29人。

 


 

   新宿歌舞伎町の不用心なホストクラブに端を発したクラスター

 

はいまだ連鎖が止まらず、夜の街全体が白い目で見られること

 

のダメージは計り知れない。

 


 

   一部の危機感のないファンが球場周辺で“プロ野球クラスター

”を起こしてしまえば、同じように世間の反感を買うことは必至。


 

   試合を行うこと自体が元凶としてやり玉に挙がることで、これま

 

での努力は水泡と化す。

 


 

  2月末にオープン戦を無観客で行ってから4カ月近く、ファンも

 

巻き込んで球界全体が続けてきた辛抱が、ようやく実を結び始め

 

ている。

 


 

   有料観客試合の解禁を目前にいま一度、プロ野球ファミリーが

 

連帯するべきときだ。