1 お金と時間
お金の価値と時間の価値について考えたいと思います。
時給1000円で働いている人は,1時間と1000円を等しい価値と考えるかもしれません。本当にそうでしょうか。
お金と時間の問題は,私たちが生きる上で非常に重要なテーマです。
2 価値は希少性によって決まる
ダイヤモンドと真珠では,価値がまるで違います。ダイヤモンドが希少だからです。
もし仮に,地球上にたった一つしかない宝石があるとすれば,その価値は地上最高になります。お金と時間の希少性について考えてみたいと思います。
3 お金の希少性
お金というものは色々な物やサービスと交換できる便利な価値を持っていますが,希少性という点ではどうでしょうか。
お金というものは,どこにでもありますし,世の中にいくらでもあります。今,私の手元にないとしても,稼いで手に入れることができます。また,貯めたり,増やしたりすることもできます。
4 時間の希少性
それに対して,時間の希少性はどうでしょうか。私に与えられた時間は,平均寿命とすれば80年間です。約3万日であり,約70万時間となります。
この時間を貯めておくことはできません。ひたすら消費していくだけです。 もちろん増やすことも不可能です。
私がこのブログを書いている今の時間も,私の人生で1回きりです。非常に残酷なことですが,一度消費すれば,もう取り戻すことはできません。
生まれた時に大きな砂時計をひっくり返すようなものです。砂が全部落ちてしまったら,それで終了で,再びひっくり返すことはできません。
時間というものは,極めて希少性の高いものであり,その意味で,世の中に時間以上に価値の高いものはありません。
したがって,本来,1時間の価値は1000円どころではありません。ただ,労働市場における需給バランスから時間当たり1000円という値段がついているだけなのです。
5 買い物
私たちにとって時間は希少で価値の非常に高いものであり,お金とは到底比較になりません。
しかし,多くの人はお金にばかり目が行っています。ネットで買い物をしようとすると,価格コムを見たり,ヤフオクやメルカリを検索したり,楽天市場を覗いたりして,少しでも安く買えないかと必死になって,最安店を探します。
かなりの時間をかけて,「安く買えた」と言って喜んでいますが,消費した時間については無頓着です。
6 対価とは
また,商品の「対価」というと商品代金だと考えるのが普通です。しかし,商品に対する対価というのは代金だけではありません。
商品を使うための「時間」が必要となります。
本を買うということは,本の代金を支払うことでお金を消費しますが,それだけでなく,本を読む時間を消費します。音楽CDを買うということは,CDの代金と音楽を聴く時間を消費するのです。
商品やサービスの対価は,代金と時間なのであり,私たちは金と時間を差し出しているのです。
そう考えると,単純に値段が安いか高いかだけで商品を選ぶことはできません。その商品に一体どれだけの時間をつぎ込むのか,それだけの貴重な時間をつぎ込む価値があるのかということを考える必要が出てきます。
6 時間よりもお金が気になる
時間とお金は,比較することができないくらい時間に価値があります。もっともっと,時間を大切に使っていきたいと思います。
残念ながら,多くの人は時間よりもお金の価値を重視しています。時間の価値を重視せずに,時間を湯水のように消費しています。どうしてこんなことになってしまうのでしょうか。
このことは次の機会に書きたいとと思います。