1 日弁連の業務改革シンポジウム

 日弁連は隔年で業務改革シンポジウムを開催します。前回のシンポで,法律事務所のスタッフのことがテーマに取り上げられることになりました。

 

 私の事務所には弁護士8人とスタッフが13人いることから,シンポの準備としてヒヤリングをしたいという連絡がありました。その連絡では,弁護士がどのようにスタッフを活用しているのか,スタッフの活用によってどのような成果が出ているのかなどを聞きたいということでした。

 

2 私のスタンス

 それに対して,私は,「スタッフを活用して弁護士が業務を効率的に進めるというのは弁護士の視点です。私の事務所ではそのような考え方をしていません。そもそも事務所は誰のためにあるのでしょうか。私の事務所ではスタッフのために事務所があると考えています。スタッフが幸せになるためにどのように事務所を運営しているのかという内容であれば,どれだけでも話をすることがあります」と答えました。

 

 少し当惑したような反応があり,「シンポの準備委員会で検討します」と言われましたが,数日後に連絡があり,ヒヤリングはしないと言われました。

 

3 企業理念

 稲盛和夫さんを持ち出すまでもなく,今では多くの企業が,「従業員を幸福にする」という趣旨を企業理念に盛り込んでいます。「従業員を上手に活用して,売上を伸ばします」という企業理念など見たことがありません。

 

4 弁護士の使命

 ほとんどの弁護士が口をそろえて,「基本的人権の擁護と社会正義の実現が弁護士の使命である」と言っていますが,事務所のスタッフにあまり目が向いていません。

 基本的人権とか社会正義という前に,足下のスタッフの幸福を実現することが必要ではないでしょうか。

 

5 スタッフの笑顔

 スタッフが楽しく元気に働くようになれば,当然の結果として,事務所の仕事のクオリティは上がります。

 スタッフがみんな笑顔で働く,そんな事務所を目指したいと思っています。