AIに負けないためにすべての人が身につけるべき「営業学」

金川顕教著 KADOKAWA

 

1 タイトル

 まず,タイトルが気になりました。「営業学」の本ですから,営業マンが身につけるべきことだと思うのですが,「すべての人が身につけるべき」と書かれています。すべての人が身につけるべき営業学とは何でしょうか。

 

2 常識的すぎる旧時代の営業から非常識すぎる新時代の営業へ

 この本では,営業に関する42の常識を順番に打ち砕いていきます。その中から,私がおもしろいと思ったものをご紹介します。

 

3 お客様は恋人

 昔は「お客様は神様です」と言われていましたが,お客様は恋人です。徹底的に仲良くなって,恋人が望んでいることを知り,その望みを叶えるために最大限の努力をするということです。

 

4 好きなお客さんのところにだけ足を運ぶ

 お客様を好き嫌いで選んでいてはいけないと言われていましたが,嫌いなお客さんと接していても成果は出ないので,好きなお客さんだけ訪問した方がパフォーマンスが上がるということです。よいお客,普通のお客,ダメなお客は3対4対3の割合と書かれています。「サシミ」の法則と言うそうです。ダメなお客は放っておくのが一番です。

 

5 オンとオフを切り分けない

 仕事とプライベートは区別すべきと言われます。しかし,「仕事は苦しい,プライベートは楽しい」という前提そのものが誤っていると言います。仕事を楽しんでこそ成果が上がります。仕事もプライベートもどちらも楽しければ,オンとオフの切り替えもありません。

 「やりたい」仕事は成果が出ますが,「やらなければならない」仕事は成果が出ません。自分の仕事を愛し熱中するようにしましょう。

 

6 広く付きあわず,狭く付きあう

 異業種交流会に参加して沢山の名刺をもらっても,何の意味もありません。参加者は,「情報くれ」,「仕事くれ」,「買ってくれ」という人ばかりだからです。

 そんなところに出かけるよりも,「この人は」と思う人と二人で食事をし,じっくりと話をして関係を深める方がより有益です。

 

7 インプットよりもアウトプット

 読書などで情報をインプットすることは大切ですが,その情報をどう活かすか(アウトプット)を考えることはもっと大切です。アウトプットの基本は,話すこと,書くこと,行動することです。相手に伝えたいことはストーリーで伝えるようにします。

 

8 クローズドクエスチョン

 「何か食べたいものがありますか」というような聞き方をオープンクエスチョンと言います。それに対して,「洋食がいいですか,和食がいいですか」とか「ご飯ものがいいですか,麺類がいいですか」という二者択一で質問することをクローズドクエスチョンと言います。

 相手も答えやすくなりますし,自分の考えているところに導いて行きやすくなります。

 

9 「会いたい」と思われる人になる

 初めは,自分が会いたいと思う人に会いに行きます。その人の書いた本を読む,セミナーを聞きに行く,直接会って会話するということです。しかし,やがて,自分も人から「あの人に会いたい」と思われるような人になることが大切です。

 

 

 この本に書かれていることは営業マンに限らず,すべての人に役立つ内容です。私もアウトプット重視に舵を切っています。「会いたい」と思われるような人を目指して,自分を磨いていきたいと思います。

 

 小堀評価 ★★☆