1 マイナンバー

新型コロナ対策の一環として,特別定額給付金(10万円)が全国民に給付されることとなりましたが,預金口座の確認に手間取って,受け取りが遅くなる人がありました。

そこで,マイナンバーに預金口座の情報を紐付けしようとする提案がされています。

 

2 個人情報

マイナンバーにはもともと個人のすべての預金口座の情報を紐付けることが予定されていました。しかし,プライバシー保護の観点から慎重な意見もあります。

政府が管理すると言っても,政府の情報管理についてはこれまでも多くの不祥事があり,個人情報が漏れる危険が絶対にないとは言えないという声も聞かれます。

私たちは個人情報にはかなり敏感に反応します。

 

3 Google

ところで,私たちは,日常的にGoogleを使っています。Googleを利用するに当たっては,Googleの利用規約に同意しています。利用規約によると,Googleは以下の情報を収集することとなっています。

 

検索したキーワード(やばい単語を入力していませんか)

再生した動画(危ない動画を再生したことはないでしょうか)

コンテンツや広告の表示やそれらへの反応(思わずクリックした広告ありますね)

音声機能使用時の声および音声の情報(会話の内容も含まれますね)

購入行動(何を買ったのかということです)

コミュニケーションの相手やコンテンツの共有相手(知られたくない相手はありませんか)

Google のサービスを利用している第三者のサイトやアプリでの行動(ここまでくると自分でも分かりませんね)

Chrome 閲覧履歴(変なサイトは見ていませんか)

現在地情報(何月何日何時にどこにいたのかという情報ですね)

 

4 Googleの利用規約

Googleはこのような利用規約を定めていますが,規約の内容について議会で審議されることもなく,民主的な手続はまったく経ていません。

それは当然ですね。あくまで,Googleと利用者との合意によって情報を取得しているのです。

また,Googleが利用規約にしたがって,適正に個人情報を管理しているのかを監視するような第三者機関も存在しません。

 

5 どこの誰が私の個人情報を管理しているのか

そもそも,Googleに提供した私の情報がどこの国にあるサーバーに保存されているのか,誰がそのサーバーや情報を管理しているのか,私たちにはまったくの謎です。

 

GoogleのHPには,「Google では,世界各地にサーバーを設置しており、ユーザーの情報は、当該ユーザーがお住まいの国以外の場所にあるサーバーで処理されることもあります。データ保護法令は国によって異なり、保護の厳格な国もあればそうでない国もあります。」と説明されています。

 

要するに,個人情報がどのように扱われるか分からないということです。

私たちが自分の個人情報をしっかりと守ろうとすれば,執りうる手段はGoogleを一切使わないことしかありませんね。

 

国による情報管理とGoogleによる情報管理を比較すれば,客観的には後者の方が相当に劣っているように思いますが,大多数の人がGoogleに情報を委ねてしまうのは,おそらくGoogleの戦略が政府よりも優れているからだと思います。

 

6 Google裁判所

Googleの使命は,世界中の情報を整理し,世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです(同社HP)。「個人情報を除く」とか「プライバシー情報はこの限りでない」などとはされていません。

 

これは私の個人的な想像ですが,将来的にGoogleが裁判所を始めるかもしれません(利用規約に仲裁合意を入れるなどの方法)。

世界中のあらゆる情報を整理して保持しているGoogleであれば,極めて迅速で公平な判決が出せる可能性があります。恐ろしい気もしますが,絶対にないとは断言できないと思います。

ボーッと生きていてはいけませんね。