1 見通しのよい交差点    

前回は,ある医師から聞いた見通しのよい交差点での衝撃体験について書きました。

弁護士は,交通事故について多くの相談を受けますが,道路交通法を誤解している人もかなりあります。

 

2 見通しの悪い交差点

街中には,見通しの悪い交差点が沢山あります。交差する左右の道路側に「止まれ」の標識が設置されていて,自分の側に設置されていない場合,皆さんはどうしますか。

「左右の道路から来る車が一旦停止するから,こちらはそのまま走行すればよい」と思っている人があります。

しかし,見通しの悪い交差点では,左右の安全を確認して,できる限り安全な速度と方法で走行する義務があり,徐行すべき場合が多いと思います。

 

3 過失割合

もしも先ほどの事例で事故が起きてしまったら,過失割合はどうなるでしょうか。

基本は8対2となり,私は2割の過失となります。

私が徐行していない場合,相手が一旦停止していれば,私が4割の過失となります。

私がきちんと徐行していて,相手が減速しなかった場合,私の過失はゼロとなります。

 

4 左方優先

見通しの悪い交差点で,どちらの側にも一旦停止の標識がない場合があります。

この場合は左方優先ですので,事故が起きた場合の過失割合は左方車と右方車が4対6となります。

道路交通法では,「通行している道路と交差する道路を左方から進行してくる車両の進行を妨害してはならない」と定められています。このことから左方が優先とされるのです。

左右ともに安全確認は必要ですが,特に左側に注意しましょう。

 

5 横断歩道

道路交通法では,横断歩道を渡ろうとする歩行者があるときは,一時停止してその通行を妨げないようにしなければならないと定められており,違反の場合,3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課されます。反則金は普通自動車が9000円です。

ところが,停止する運転手は少なく,全国平均で17.4%しか停まらないそうです。また,地域による差が大きく,一番優秀なのは長野県の68.6%,反対は三重県の3.4%ということです(2019年JAF調査)。

警察では摘発が強化されており,ここ5年間で取り締まり件数は約2倍となっています。

 

 

私は昨年の夏から石川県白山市で仕事をしていますが,白山市では横断歩道に立っているとほとんどの車が停まってくれます。

素晴らしい街ですね。

 

6 歩行者

道路交通法では,歩行者が道路を横断しようとするとき,近くに横断歩道があれば横断歩道を通らなければならないと定められています。

毎朝,小学生が登校する時間帯に,交通指導員の方が黄色い旗を持って横断歩道に立ってくれています。ところが,横断歩道でないところを平気で渡っている大人がいます。

気をつけたいと思います。